深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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Frances Hodgeson Burnett『A Little Princess』
A Little PrincessA Little Princess
Frances Hodgson Burnett,Tasha Tudor

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小公女 (岩波少年文庫)小公女 (岩波少年文庫)
フランシス・ホジソン・バーネット,小西 英子,脇 明子

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“Stop!" said Miss Minchin. "Don't you intend to thank me?"

Sara paused, and all the deep, strange thoughts surged up in her breast.

"What for?" she said.

"For my kindness to you," replied Miss Minchin. "For my kindness in giving you a home.”


Sara made two or three steps toward her. Her thin little chest heaved up and down, and she spoke in a strange un-childishly fierce way.

"You are not kind," she said. "You are NOT kind, and it is NOT a home." And she had turned and run out of the room before Miss Minchin could stop her or do anything but stare after her with stony anger.”
(拙訳)「待ちなさい」ミンチン先生は言った。「あなたは私に感謝しようとは思わないのですか?」
 セーラは足をとめると、胸の奥底から奇妙な思いがこみ上がるのを感じた。
「何に対してですか?」
「あなたに対する親切にです」ミンチン先生は答えた。「あなたに居場所を提供してあげていることにです」
 セーラは先生に向かってニ、三歩あゆみ寄った。セーラのやせた小さな胸は大きく波打っていた。そして子どもとは思えない激しさでまくし立てた。
「あなたは親切なんかじゃありません。親切じゃないし、ここは私の居場所でもないわ」。そういうと、ミンチン先生が怒りに呆然と立ちつくしているうちに、呼び止められたりする前に、セーラはきびすを返して部屋を飛び出した。

Frances Hodgson Burnett
『A Little Princess; being the whole story of Sara Crewe now told for the first time』


 先日『遠い太鼓』の朗読を聴いている際、村上春樹夫妻がスペツェス島の衰退の理由を話しているところだったと思うが、夫人は小公女みたいな(報われる)物語が好きなのだ、というようなことを書いているところがあったと思う。

 ちょうど『秘密の花園』を読み終わるころだったので、このままバーネット夫人の作品を読んでいくのもいいかなと思い、iBooks でダウンロードしたものを読んでみることにした。

『小公女セーラ』といえば、世界名作劇場でアニメ化されたものが、胸糞の悪いいじめ描写でセンセーションを巻き起こしたということで有名であり、どんな目をそむけたくなるような展開があるのかと期待半分、恐れ半分で読み進めた。
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レフ・トルストイ『懺悔』
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レフ N.トルストイ,原 久一郎

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 実際、鳥は翔び、食物を集め、そして巣を作らなければならないように、この世の生をうけているのだ。そして私は、鳥がそういう仕事をやっているのを見る時に、彼らの喜びをうれしく思うのである。また山羊や兎や狼は、身を肥やし、子を生み、子供たちを養わなければならないように、この世の生をうけている。そして彼らがそうした仕事をやっている時、私の胸には、彼らは幸福でありその生活を正しいという、堅い認識が生まれるのである。しからば人間はいかなることをなすべきであるか? 人間もまた動物と同じように、その生活をいとなまなければならないが、ただ、自分一人でそれをやったら人間は滅亡しなければならないのであって、あくまでもそれを自分一人のためではなく、万人のために行わなければならないのだという、この点に相違が存するのである。で、人間が自分一人のためではなく万人のために生をいとなんでいる場合、私の胸には、あの人は幸福だ、あの人の生活は正しいという、堅い信念が湧き出るのである。それでは一体この私は、三十年にわたる意識的生活において、そういうことをやって来たか? 私は万人のための生活をしなかったばかりでなく、自分一人のためにさえ、生活の資を稼ごうとしなかった。まるで寄生虫のような生活を続けて来た。そして、何のために自分は生きているのか? と自分にたずねて、何のためでもない、という答えを得たのである。人生の意義が、それを守り立てるということに在るならば、三十年の間、自己のためまた他の人々のために、これを守りたてるということではなく、絶滅させるということに従事して来たこの私が、《自分の生活は飽くと無意味の連続である》という解答以外、いかなる解答をも得られなかったのはむしろ当然である。

レフ・トルストイ『懺悔』


 この前、小林秀雄の『作家の顔』を読んだとき、トルストイの「わが懺悔」について絶望から立ち上がろうとした作品だと触れており、やっぱりいつかは読まねばと思っていた。

 そんな折も折、2月の岩波文庫の復刊で、この『懺悔』が重刷されることを知って、これは良いタイミングと思って読んでみることにした。

 作家として世界的な名声を得て何不自由なく暮らすことのできるはずのトルストイだったが、壮年に差しかかり、人生は無意味という絶望に取り付かれてしまう。その苦しみとそれをどのように乗り越えたかを克明に記したのがこの『懺悔』になる。
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アーウィン・ショー『緑色の裸婦』
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夏服を着た女たち (講談社文芸文庫)夏服を着た女たち (講談社文芸文庫)
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 ヒュー・フォレスターには物忘れということがなかった。例えば、ニュー・コールド・ハーバーの戦いの年月日を覚えていた(一八六四年五月三十一日―六月十二日)。小学一年のときの担任の教師の名前を覚えていた(ウィーベル、髪は赤毛、体重六十八キロ、睫毛がない)。(中略)
 ところが自分の二十四回目の結婚記念日(一月二十五日)を忘れたのである。

アーウィン・ショー『緑色の裸婦』
「忘却の川の麗らかな岸辺」より


 今年の一月、直木賞作家の常盤新平さんが亡くなられました。私は氏の作品を読んだことはないけれど、氏の訳したアーウィン・ショーの作品には強い印象を受けたので残念に思います。

 アーウィン・ショーを読もうと思ったのは、これまた『夏服を着た女たち』が講談社文芸文庫に入っていたからです。林京子さんといい、講談社文芸文庫には頭が上がりません。

 アーウィン・ショーは20世紀アメリカの作家で、雑誌「ニューヨーカー」に多くの短編を発表するなど、ベストセラー作家として人気を博した有名人だったようです。

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Frances Hodgson Burnett『The Secret Garden』
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秘密の花園秘密の花園
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“You'll have to if I want you," said Colin.

"I won't!" said Mary.

"I'll make you," said Colin. "They shall drag you in."

"Shall they, Mr. Rajah!" said Mary fiercely. "They may drag me in but they can't make me talk when they get me here. I'll sit and clench my teeth and never tell you one thing. I won't even look at you. I'll stare at the floor!”

「ぼくが君を部屋に呼んだら、君は来ないといけないんだよ」とコリンは言った。
「嫌だわ!」メアリーは答える。
「ぼくがそうさせてみせる。みんなが君を引きずってでもここに連れてくるよ」
「そうでしょうね、ラージャさん!」メアリーは声を荒げた。「確かに、わたしをこの部屋に連れこむことはできるかもしれない。でもわたしをしゃべらすことまではできないわ。うずくまって、歯を食いしばって、何も話さない。あなたの顔も見ない。ずっと床ばっか見てるんだから!」

Frances Hodgson Burnett “The Secret Garden”


野生の呼び声」は想像以上に読みにくかったが、iPhone を使った英文読書は読みやすい児童文学を中心に読んでいこうと思っている。

 ここ最近読んでいたのが、バーネットの『秘密の花園』。その昔、アニメになっているのを見たことがあるものの、内容についてはほとんど覚えていなかった。

 世界名作劇場シリーズで放映されていたものだと思っていたのだけれど、どうやら私の勘違いでNHKで放送されたものらしい。

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Jack London『The Call of the Wild』
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Nor did he open his eyes till roused by the noises of the waking camp. At first he did not know where he was. It had snowed during the night and he was completely buried. The snow walls pressed him on every side, and a great surge of fear swept through him—the fear of the wild thing for the trap. It was a token that he was harking back through his own life to the lives of his forebears; for he was a civilized dog, an unduly civilized dog, and of his own experience knew no trap and so could not of himself fear it. The muscles of his whole body contracted spasmodically and instinctively, the hair on his neck and shoulders stood on end, and with a ferocious snarl he bounded straight up into the blinding day, the snow flying about him in a flashing cloud. Ere he landed on his feet, he saw the white camp spread out before him and knew where he was and remembered all that had passed from the time he went for a stroll with Manuel to the hole he had dug for himself the night before.

(拙訳) 動き出したキャンプが立てる音によって目を覚まされるまで、バックは目を開くことはなかった。はじめ彼は自分がどこにいるのかわからなかった。夜の間に降った雪が彼を完全に埋め尽くしていた。雪の壁がどの方向からも押し迫り、恐怖が―野生動物が罠に対して抱く恐怖が、彼の身体を這い上がった。これは彼が自分自身の生から先祖の生へと戻りつつある証だった。というのも、彼は文明国に育ち、過度に快適な生活に浸った犬であったから、罠について知ることもなく、ゆえに恐怖を抱くこともなかったからだ。全身の筋肉が発作的に、本能的に収縮し、首から肩にかけての毛が直立する。獰猛なうなり声をあげ、目のくらむ日の光の中に向かって跳び出すと、雪がきらめく雲となって飛び散った。着地もしないうちに、白く染まったキャンプを見て彼は自分がどこにいたかを悟った。マニュエルとともにさまよい出た時から穴を掘って身を沈めるに至るまでの昨晩の出来事を思い出した。

Jack London “The Call of the Wild”


 ハーディの“Far from the Madding Crowd”を読んで、まだまだ一般文学を読みこなすには力不足だということを痛感した。そこで“The Wonderful Wizard of Oz”が読みやすかったことを思い出し、邦訳があっても未読の児童文学を中心に読んでいこうかと思い立った。

 そこで挑戦したのが、大江健三郎が影響を受けたと常々語っている「ニルスのふしぎな旅」の英訳版。ところがこれが想像以上に難物だった。固有名詞はスウェーデン語のままなので読み方がわからず、したがって覚えられない。序盤時系列が前後する部分があり、そこで混乱してしまった。

 大部でもあり、とても読みこなす自信がなくなり、いずれ日本語で読むことに決めてしまった。代わるものを探して iBooks のランキングを眺めていると、目に留まったのがジャック・ロンドンの「荒野の呼び声」だった。
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