深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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須賀しのぶ『流血女神伝 帝国の娘』
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帝国の娘〈後編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)帝国の娘〈後編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)
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 自分は誰よりも、この国のことを愛している。憂えている。ドミトリアスは、そう思っている。だからこそアルゼウスに期待もし、また嫉妬もする。
 カデーレの生活で、彼に甘えを許さないのは、もちろん一刻もはやく皇帝候補として相応しい人物になってほしいからだ。しかし同時に、自分自身の境遇へのいらだちから、半ば幼い弟にあたっている部分も否めない。
(醜いな、おれは)
 ドミトリアスはおのれを笑った。

須賀しのぶ『流血女神伝 帝国の娘 後編』


「天翔けるバカ」シリーズ」(『天翔けるバカ―flying fools―』『天翔けるバカ―We Are the Champions―』)を読んでおもしろいなと思っていたちょうどその頃、「流血女神伝」シリーズも完結したという噂を聞いて読んでみることにした。

 この「帝国の娘」編は歴史をベースにした架空の世界を舞台に、皇帝の座をめぐる争いに巻き込まれていく少女カリエの姿を描いている。

 ルトヴィア帝国の辺境で育ったカリエは突然目の前に現れた男エディアルドにさらわれる。帝国では皇帝候補を一ヶ所に集め競わせる慣例があるが、候補の一人で病弱なアルゼウスの影武者となることを強いられる。

 突然の事態に激しく抵抗するカリエだったが、自身や育ての親の死を免れるには受け入れるほかなかった。エディアルドによる3ヶ月の過酷な教育に堪えたカリエは見事に影武者となり、3人の皇子が待つ皇子宮に入場することになる……。
 どちらかといえば苦手であまり読まない架空の世界を舞台にした群像劇だけれど、前編は王道的な展開で割と素直に入っていくことができた。

 過酷な運命を受け入れていく少女の健気な姿、反発しあいながらも次第に絆を深めていく教育係と少女の関係がおもしろい。

 しかし後編に入って他の皇子が登場してからがやはりおもしろい。形式化した制度が人々を歪めていく様子が巧みに描かれている。

 ライトノベルということで侮りがあったのかもしれない。いきなり人の死を含む現実的な展開があるとは想像していなかったので、かなり衝撃を受けた。

 特に皇帝としての能力も自負もありながら、皇帝にはなれないというポジションに甘んじてしまっているところのある長兄ドミトリアスが魅力的だった。

 影武者としての生を捨て自ら歩み出したカリエの今後が気になり、次の巻も早く読んでみたくなった。
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