深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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行方昭夫『実践 英文快読術』
実践 英文快読術 (岩波現代文庫)実践 英文快読術 (岩波現代文庫)
(2007/12)
行方 昭夫

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A:If I laugh at everything, I must laugh at us too.
E:Certainly you must. We are figures of fun alright.

A:何もかも笑い飛ばすとすると、自分たちのことも笑うのね。
E:もちろんさ、ぼくらもお笑いの対象さ。

ノエル・カワード「私生活」より


 行方さんの新巻が出ていたので読んでみた。

 本書は同じ岩波現代文庫から出ている『英文解読術』の続編的な位置づけ。あとがきでも触れられているように、難易度的にも同等だろう。

 実践という名の通り、ノエル・カワードの「私生活」という戯曲を読み進めていく。元々ちくま文庫から『英語のこころを読む』として出ていたものを改稿したらしい。
 

 最初の数十ページで戯曲を読む際に注意すべき点を解説し、「私生活」の本文を一約ページ、注釈、訳と繰りかえしていく。そして最後に付録として著名な作家のエッセーからの抜粋が収められている。
 第1部の解説は比較級の否定や他動詞の話など、氏の他の著作でも繰り返し注意されている話が多く、読んでいると何となくあの話だなとわかってくる。けれども英文をいきなり出されると間違ったりするのが不甲斐ない。

 それはさておき本書の大部分は第2部の戯曲。ノエル・カワードはモームらとともに、20世紀の風俗劇を引っ張ったと人物だという。

「私生活」はエリオット(引用のE)とアマンダ(引用のA)の元夫婦がシビルとヴィクターというそれぞれの新しい伴侶との新婚旅行中に再会し、焼けぼっくいに火がついて駆け落ちするというもの。

 初婚と二度目との結婚生活への期待、伴侶へ抱く理想などの差、再会しても口論が絶えない元夫婦など、次第に馬脚をあらわす登場人物とその対照がおもしろい。

 ただ当時は性に厳格で結婚も重大事だったという背景を知らないと取り立てる部分の薄い話に思ってしまう。それを抜きにしても軽い感じで読める、いかにも喜劇らしい喜劇でなかなか楽しめるけれど。


 全体としては解説が戯曲を読むのに必要な部分に絞られてしまっている。カワードの作品を読みたい人を除けば、『英文快読術』など、氏の他の著作から入ったほうがよいと思う。
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