深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カレ・ラースン『さよなら、消費社会』
さよなら、消費社会―カルチャー・ジャマーの挑戦さよなら、消費社会―カルチャー・ジャマーの挑戦
(2006/06)
カレ ラースン

商品詳細を見る

 エルビスの悲劇こそが、古くさいアメリカン・ドリームそのものだ。多かれ少なかれぼくらはみんなエルビスなんだ。アメリカ人のように生き急ぎ、不道徳を繰りかえす。全力で生きるということはそういうことだ。そんなライフスタイルこそが「勝ち組」だとされているんだ。そしてぼくらは「消費」を続けている。財布の中身の話だけじゃない。ぼくら自身の身体やこころ、家族やコミュニティ、そして地球環境そのものを「消費」しているんだ。

カレ・ラースン『さよなら、消費社会』


 本書は雑誌「Adbusters」などを発行している著者がマス・メディアや消費社会について疑問を呈するカルチャー・ジャミングという運動を紹介したもの。

 私たちの周りには広告があふれ、何が「クール」で何をすべきかといったことを促し、消費を促している。そしてそういった広告には刺激的な映像や音が使われ、人々は幼いときからそれに浸りきっている。

 マス・メディアでは大企業に不利な情報は抑えられることもあるし、個人はそこへアクセスする手段は限られている。経済成長といっても環境を失うことのコストは計算に入っていない。

 といった感じでマス・メディアと消費社会の害を著者はあげつらっていく。そして本当に必要なのは何か、楽しいことは何なのかという批判意識をもって、自分自身のライフスタイルを選び取るべきだという。
 そこで彼らは、ドーキンスの造語であるミームを武器に戦いを挑んでいる。デモ活動を行ったり、企業の広告をネタにして、「それって本当にクールなの?」と問いかけているようだ。

 過激的なゲリラ活動も行っているようで、これはすごいなと思う。またメディアが人間の精神に及ぼす影響ももう少し理論的な面も説明して欲しかった。

 ポイントはそこだ。個々の市民の考え方や表現や関心事が重要なんじゃないんだ。それよりもカルチャー全体がボトムアップで創造されないという点が問題なんだ。「カルチャー」は、いまや、トップダウンで企業によって「供給」されるものになってしまった。現在の状況では、どんな問題についてもちゃんとしたディベートは不可能なのだ。つまりこのままでは真の民主主義、真の改革は不可能なんだ。

カレ・ラースン『さよなら、消費社会』


 けれどもその手段はともかく、商業主義以外の批判的視点があってもよいではないか、というメッセージはなるほどと思う面もあった。

 その消費は私を幸せにするかということに意識的であってもいいかもしれない。引用されているドゥボールの言葉は印象的だった。

 また電力の節約には説明するだけでは効果は薄く、メーターを可視化するなどのシステム的な変更が必要なのだ、という例は示唆的だと思う。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/65-7865f7d1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。