深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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山本七平「聖書の常識」
聖書の常識 (山本七平ライブラリー)聖書の常識 (山本七平ライブラリー)
(1997/11)
山本 七平

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 神は全能の癖にちっともこういうことをしてくれない、と人間が不平をいうことは、神を自分のために何でもしてくれる全能の召使いとみているということである。
 こういう見方を不可能にしているのが、ホセアである。全能者とは「敗れることができない」ものでなく――それでは全能ではない――人が神と争って勝ったとき、同時に人は負けているような対象ということである。

山本七平『聖書の常識』


 旧約聖書は『アブサロム、アブサロム!』に挑戦したときに読んだサミュエル記までとヨブ記で止まってしまっているけれど、「『あたりまえ』の研究」がおもしろかったので手にとってみた。

 私が読んだライブラリー版には「聖書の常識」と「聖書の旅」の二篇が収録されている。「聖書の常識」はなかなか日本人が理解していない聖書について解説する聖書学の入門書。

 著者はまず日本人に多い聖書の誤解を挙げている。それは聖書が「一冊の本」であり、宗教書であり、キリスト教の聖典だということ。そういった点を訂正していく形で聖書の基本的な知識をまとめている。

 旧約から新約まで聖書の成立過程やユダヤ人の歴史との対応関係を追いながら、聖書の基本的な考え方や古代ユダヤ人社会の特徴を描いていく。聖書は一種の歴史書でもあるが、その歴史哲学のフィルターがかかっているので、それを読み解く必要がある。

 ここで描かれているのは、旧約と新約が全く別の思想ではなく、ユダヤ人の歴史の中で出てきた陸続きのものだということだと思う。
 そういった特徴から、著者の関心は旧約聖書の方により関心があるようで、パウロ、ペテロで記述は終わっており、キリスト教成立以降のことはほとんど触れられていない。

 その点は、「キリスト教と聖書を結びつけやすい」私にとっては意外だった。しかし著者のいうように「旧約→新約→キリスト教」という流れはなかなか見えなかったのでおもしろかった。

 特に、引用したところのように、「全能の神」という概念が、日本人の想像するものと全く違うという部分は興味深かった。

 人は神に勝つこともあるけれども最後にはすがらざるを得ないという考え方に実感は湧かないが、かなり考え方が違うのだと思う。

 そして「正直者がバカをみない」が実現した社会ではヨブのような人間は責められるほかないと警鐘を鳴らしている部分も考えさせられた。
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