深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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上坂 信男ら(全訳注)『枕草子 上』
枕草子〈上〉 (講談社学術文庫)枕草子〈上〉 (講談社学術文庫)
(1999/10)
上坂 信男、

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 七月ばかりに、風いたう吹きて、雨などさわがしき日、おほかたいと涼しければ、扇もうち忘れたるに、汗の香すこしかゝへたる綿衣の薄きを、いとよく引き着て昼寝したるこそをかしけれ。

『枕草子 上』



 この講談社学術文庫版の「枕草子」は三分冊なのだけれど、一段ごと、もしくははある程度の分量ごとに、注と全訳、解説がついているので、こちらを選んだ。

 思っていたよりも難しく、訳のあるものを選んでよかったと思う。特に宮中の行事や格式の知識が欠けていたり、主語がはっきりしないので誰の発言かわからなかったりということが多い。

 上巻には「春は曙」で有名な第一段から第九四段までが収録されている。

 古典の授業では類聚章段をいくつか読んだぐらいだったけれど、改めて読んでみると当時の宮中の生活や恋愛の描かれている部分も面白い。
「すさまじきもの」や「にくきもの」を読むとかなり細かいことまで辛辣にあげつらっていて嫌な人だなと思う。一方「うつくしきもの」「めでたきもの」などは微笑ましく、感情の赴くままに語っているのだろうと思うと好感が持てる。

「方丈記」や「徒然草」もとても好きだけれども、「枕草子」は他の作品に比べて明るく笑ってしまうようなものも多くて、そういった面ががとても魅力的だと思う。

「大進生昌が家に」などは当日の様子がよく伝わってきて、中宮定子の人となりが魅力的に描かれている。

 ところが余説によると、これは中宮定子の落魄を象徴するエピソードであったらしい。そういった話を聞くと、主の惨めさを感じさせないように描く著者の心持に打たれる。

 確かにプライドが高い性格は伝わってくるし、貴族を賛美するのは鼻につく。しかし著者の描き出す宮中の様子は心地よく、すばらしい作品だなと思う。
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