深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』
ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)
(1979/01)
オマル・ハイヤーム

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 チューリップのおもて、糸杉のあで姿よ、
 わが面影のいかばかり麗しかろうと、
 なんのためにこうしてわれを久遠の絵師は
 土のうてなになんか飾ったものだろう?

 二つ戸口のこの宿にいることの効果は
 心の痛みと命へのあきらめのみだ。
 生の息吹きを知らない者が羨ましい。
 母から生まれなかったものこそ幸福だ!

オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』



 11世紀ペルシアの万能人オマル・ハイヤームの高名な詩集。ルバイヤートとはペルシアの四行詩ルバーイイの複数形。この本には全部で143首の四行詩が収められている。

 この本を手にとるきっかけになったのは、最近読んだT.S. エリオットがフィツジェラルド訳の『ルバイヤート』に影響を受けていたと知ったから。『ルバイヤート』の訳文は平易で、100頁ほどと短くすぐに読むことができた。

 この本でうたわれているのは、この世に生まれるのも死ぬのも自分の意志ではなく、人生は自分の思い通りになるものではないこと、どんなものもいずれは虚しくなってしまうという無常観と死んでしまったら土へと帰っていくという唯物的な考え方、過去や未来、来世の救いなどにこだわらるのをやめ、恋と酒によって今を楽しもうとする姿勢である。

 こういった無常観はなじみが深いし、ぶっきらぼうな飾らない調子も痛快で共感できた。次の詩のように恋や酒をたたえるのは、皮肉が利いていて自然と笑い声がもれてしまう。

 恋する者と酒のみは地獄に行くと言う、
 根も葉もない囈言にしかすぎぬ。
 恋する者や酒のみが地獄に落ちたら、
 天国は人影もなくさびれよう!

 地の青馬にうち跨っている酔漢を見たか?
 邪宗も、イスラムも、まして信仰や戒律どころか、
 神も、真理も、世の中も眼中にないありさま、
 二つの世にかけてこれ以上の勇者があったか?

オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』



 そしてそういった虚しさを見つめながらも、あくまでも今生きている現実を重視して、楽しんで生きていこうとするところはエリオットにも通じているのかなと思った。それにしても戒律の厳しい印象のあるイスラム社会の中で、よく現代まで残ってきたものだと思う。
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