深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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須賀しのぶ『天翔けるバカ We Are The Champions』
天翔けるバカ―We Are The Champions (コバルト文庫)天翔けるバカ―We Are The Champions (コバルト文庫)
(2000/09)
須賀 しのぶ

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「引きずられるな、ハーレイ」
 ロードは強い口調で言った。
「あのマリアを倒したのが爆撃機ならば、おれたちはそいつを堕とせばいい」
「……堕とせばいい?」
「そうだ。すべきことは、それだけだ。シャロンは、戦争が終わったら会おうと言っただろう。戦争の間は余計なことを考えずに、それぞれの仕事を果たせばいい。それしか、できることはないんだ」

須賀しのぶ『天翔けるバカ We Are The Champions』


 昨日に続いて「天翔けるバカ」シリーズの二巻目で最終巻。前巻に続き主人公リックの所属する義勇軍を中心に第一次世界大戦の終戦までを描いている。

 これは完全に意表をつかれた。前巻ではリックが成長していく少年マンガ的なストーリーがはっきりしていたけれど、この巻では様々な人物の視点から、重層的に戦争を描いている。

 もちろんリックがエースを目指すという基本線はあるものの、より屈折したものになり、主人公たちの底抜けの明るさにも陰翳を帯びてくる。
 そしてマンフレート・リヒトホーフェンとロタール、そしてゲーリングといったドイツ側の人間たちにも焦点が当てられる。

 英雄と謳われ、否応なく政治に巻き込まれていくマンフレート。事故の後遺症の中や衰えを感じながら、飛ぶことを余儀なくされ、飛行機乗りの喜びもわからなくなっていく。そういった偶像としての苦悩が描かれていて胸を打つ。

 自信家で傲慢なゲーリングもおもしろい人物だ。マンフレートの死後、司令官に登りつめるものの敗色濃厚なドイツが置かれた現実を直視することができない姿は哀しい。

 もう一人、意外な人物が戦死する。あれが死亡フラグだったとは思いもよらず、衝撃も大きかった。素直にうまいと思う。

 ストーリー面は若干弱いように感じるけれども、黎明期の航空部隊と第一次世界大戦という魅力的な題材を見事に描いていてすばらしい作品だった。
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