深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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小林標『ラテン語の世界』
ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)
(2006/02)
小林 標

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 ラテン語の一見複雑怪奇に見える変化形の背後には,実に整然たる,ほとんど整然たる,ほとんど数式の行列にも見まがうほどの論理性が存在することが見えてくるのである.各単語はさまざまに形を変えるのだが,その形のひとつひとつの現れを「形式」と呼ぶとすると,それらの「形式」には常にその形式特有の「意味」が付随しているのである.この論理性を理解して,最初のある「丸暗記」の時期を過ぎてしまえば,変化形の多彩さなどは要するに「意味」の明晰さを保証するものに変化してしまうことがわかってくる.

小林標『ラテン語の世界』


 私はラテン語のことはほとんど知らないのだけれど、文学作品をはじめ様々な機会で出会うので少し知りたくなって手にとってみた。

 本書はラテン語の特徴や歴史、変遷などについて書かれた本。ラテン語が読めるようになるわけではないが、ラテン語に関するさまざまな知識が得られる珍しい一冊。

 日本語のように助詞などを使って単語をつなぎ合わせる膠着語に対し、ラテン語は屈折語と言われ、単語そのものが変化し意味の違いを表す。

 この規則が極めて論理的にできているので、引用文にある最初の丸暗記の部分を通り過ぎれば、形から文章の意味を明晰に導き出すことができるという。
 そしてラテン語が持つ豊富な接尾辞や接頭辞は、こういった形式と意味の連関を保ちながら無限に新しい言葉を生み出していく力を持っている。

 こういった特徴がラテン語がその話者を失っても、現代に強い影響を及ぼし続ける要因なのである。

 その他にもラテン語で書かれた文学についての解説や韻の踏み方や発音の仕方の変遷など興味深い話題が続く。

 例えば、芥川龍之介の「奉教人の死」に「黄金伝説」を意味する「れげんだ・おうれあ」という言葉が出てくるが、これは大学で習う古典的発音法で、その成立は13世紀イタリアなのでそうは読まなかったと突っ込まれてしまったというのはおもしろい。

 ただし、ラテン語に関する知識が全くなくても問題ないと思うが、いくらか知識があったほうが楽しめるのは確かだと思う。

 特に長母音の記号が最小限に抑えられていたり、発音の方法が書かれていなかったりするので、単語が読めないのがつらかった。
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