深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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今野緒雪『マリア様がみてる キラキラまわる』
マリア様がみてるキラキラまわる (コバルト文庫 こ 7-56)マリア様がみてるキラキラまわる (コバルト文庫 こ 7-56)
(2007/12/26)
今野 緒雪

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「マリア様がみてる」シリーズの最新刊が出たので読んでみました。

 出版されたばかりということで、ネタバレも含むので格納。
 祥子の遊園地リベンジに山百合会周辺のメンバーがグループをつくって参加する今巻。

 祥子が背水の陣をしいた前巻を読んだときは、大きな問題を解決してシリーズ終了なのかと心配したものですが、各所で予想のあった通り自動車免許取得だったという落ちで一安心。いつものマリみてですね。

 完全な紅薔薇回になるかと思いきや、むしろ周辺が動いた感じ。全く組織立っていないグループが最後はちゃんと一つにまとまる構成はおもしろくて、ここ最近のシリーズの中でもかなり好きです。

 遊園地という普段とは違う場所で山百合会が集まることで、個々のキャラクターのずれが浮かび上がってくるような回でした。

 お互いのことは誰よりもわかっているから自分しか知らないことを報告するのを忘れていることにさえ由乃は気づかなかったり、複雑な家庭の事情が深刻な問題だと気づかない志摩子さんだったり。

 違う人間だから時にはそのずれが明らかになって戸惑ってしまっても、お互いを必要としている姉妹の関係が絶妙ですね。

 でも山百合会のメンバーじゃない蔦子さんは? 自分に自信がないからカメラ係としての道具的な役割を果たすことに徹したという彼女の告白は、誰もが少なからず感じているところではないでしょうか。

 でもそんな道具的な役割を失っても、周りは何事もなかったかのように変わらない。蔦子さんが感じる安心感は、自分のことの嬉しく感じました。

 姉妹の関係が取り沙汰されがちな彼女たちですが、横のつながりもしっかりと築いている。そういったところがしっかり描かれていてとてもよかったと思います。

 そして蔦子さんとつぼみたちのような関係を、瞳子と可南子も築いていますね。一時は宙に浮いた感じがしていた可南子の存在もいい感じの位置に収まりそう。

 近づいていって重なることはできなくても、メリーゴーラウンドのようにそれぞれの距離をとって動いている少女たちの関係が美しく、とても心地よい。先代薔薇様が抜けたあとどうなるかと思った彼女たちも、一年をかけてこういった関係を築いてきたんだなと感慨深いものがあります。

「何にしても、誘ってくれて嬉しかったわ」
 ありがとう、とお礼を言われて、瞳子はあわてて訂正する。
「誘うって言ったのお姉さまだから」
 すると、
「……ふうん……」
「何?」
 変な間のわけを尋ねると、可南子さんは頬杖をついて冷ややかに言った。
「『お姉さま』、板についてきたじゃない」
「お陰さまで」
 そしてお互いに、コーヒーと紅茶をずずずと飲み干した。

今野緒雪『マリア様がみてる キラキラまわる』



 それにしても由乃の暴走がすごい。自分にも非があるのはわかってるのに依怙地になってしまう気持ちはよくわかるので好きなキャラクターの一人なのですが、周りは大変ですね。

 紅薔薇の円満ぶりが心憎いばかりですが、卒業式に向けてどう動いてくるか期待したいところです。
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