深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
レイモンド・カーヴァー「収集」
Where I'm Calling from: New and Selected Stories (Vintage Contemporaries)Where I'm Calling from: New and Selected Stories (Vintage Contemporaries)
(1989/06)
Raymond Carver

商品詳細を見る

 最近は昔丸善のバーゲンで買ったこの本をちまちまと読み進めている。洋書のいいところは、自分ぐらいの英語力だと一冊読み終わるのに時間がかかるので書籍代の節約になるところ。すらすらと読めるようになるのが目標なんだけど。

 この本にはカーヴァーの小説がほぼ年代順に収録されている。詩やエッセイは収録されていないが、これ一冊でカーヴァーの代表作は読むことができる。

 村上春樹が訳した『僕が電話をかけている場所』や『夜になると鮭は……』、『ささやかだけれど、役に立つこと』を読んでから、カーヴァーは好きな作家の一人だった。個人的には後期の作品のほうが希望がほのみえる結末がつけられることが多くて好きだったのだが、5分の1ほど読み進めて初期の短編も面白いなと再発見する思いだった。
「収集(Collectors)」は、失業中の男が一つだけ仕事のあてがあって手紙を心待ちにしている。そんなときに妻がキャンペーンにあたったとセールスマンが訪れる。妻はもういないと男は断るのだが、セールスマンは家に上がりこみ掃除機を組み立てると、集めた埃をよく見えるように並べだす。そんなとき手紙が届くのだが、セールスマンは黙々と作業を続け手紙をとりに行かせない。それどころか男は手紙をポケットに入れてしまい、作業を終えるとそのまま帰ってしまうのである。

 読み終わったあとはちょっと呆然としてしまったけれども、ありえない状況に笑いがこみあげてくる。心待ちにしていた手紙を持っていかれて男だったが、抗議することもできない。それどころか、おそらく仕事をしていて妻もいた時にたまっただろう埃が集められて、妙にすっきりした読後感があっておもしろかった。

 初期のカーヴァーはかみ合わない会話の中に、人間の病んだ部分や不安がむき出しになるような緊張感のある作品が多いように思うが、そういった作品とは少し趣の違うコミカルな作品で意外に思った。


 カーヴァーの英語は難しい語句なども少なくとても読みやすいので、私みたいに英語があまり得意でない人にもおすすめです。日常的な言い回しや俗語がちょっとわからなかったりするのですが。日本語では村上春樹訳の『頼むから静かにしてくれ〈1〉』に収録されています。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/4-73b88a00
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。