深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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Edith Nesbit『Five Children and It』

And they went home - very late for tea and unspeakably late for dinner. Martha scolded, of course. But the Lamb was safe.

'I say - it turned out we wanted the Lamb as much as anyone,' said Robert, later.
'Of course.'

'But do you feel different about it now the sun's set?'

'No,' said all the others together.
'Then it's lasted over sunset with us.”
“No, it hasn't,' Cyril explained. 'The wish didn't do anything to US. We always wanted him with all our hearts when we were our proper selves, only we were all pigs this morning; especially you,
Robert.' Robert bore this much with a strange calm.
'I certainly THOUGHT I didn't want him this morning,' said he. 'Perhaps I was a pig. But everything looked so different when we thought we were going to lose him.”

(拙訳)それから子どもたちは家に帰りました――お茶の時間には遅すぎましたし、食事にはお話にならないぐらい遅い時間でしたが。マーサはもちろん怒りました。でもラムは無事だったのです。
「だからさ、僕たちは誰よりもラムのこと必要だったってことだよ」ロバートは後になっていいました。
「もちろんだよ」
「でも、もう日が沈んじゃったから、気が変わっちゃったんじゃない?」
「そんなことないよ」他のみんなが一斉にいいました。
「じゃあ願いごとのききめが続いてるんだ」
「違うよ」シリルは説明しました。「願いごとは僕たちには何にもしてないのさ。僕たちがちゃんとしているときは、いつだってラムを心から必要としてるんだ。今朝は僕たち豚にでもなってたのさ。特に君だよ、ロバート」
 ロバートはしばらくじっとこの言葉をかみしめていました。
「ラムなんていらないって朝はたしかに思ったんだよ」彼は言いました。「きっとほんとに豚になってたのさ。でもいなくなっちゃうと思ったらすべてが丸っきり違って見えたんだ」

Edith Nesbit『Five Children and It』


 その昔、英文の多読を試していたときに、図書館で『Railway Children』の retold物を読んだことがある。話の筋まではっきりと覚えているわけではないが、ぬっと迫ってくる機関車の迫力のある場面が鮮やかに心に残っている。

 ここ最近『秘密の花園』を皮切りにバーネット夫人の作品を読んできて同じ作者つながりで読んでみようと思ったのだが、夫人の名前で探しても目当ての作品は見つからない。。わかってみれば何のことはない、作者はバーネット夫人ではなくイーディス・ネズビットだったのだ。

 そんなわけで、とんだ勘違いだったわけだけれど、とにもかくにもネズビットの代表作と思われる『砂の妖精』の原文をダウンロードして読んでみることにした。
 原題は「5人の子どもたちとそれ」でよくわからないが、都会から田舎の新居に一家が越してくる。その家の5人の子どもたちシリルとロバート、アンシアとジェイン、そしてまだ赤ん坊で子羊を意味するラムと呼ばれる赤ん坊にとっては、近くの砂利とり場は格好の遊び場だった。ある日、砂利とり場で遊んでいるときに、子どもたちは地面から砂の妖精サミアッドを引っぱり出す。

 カタツムリの目玉のような目をしたグロテスクな見た目のそれはひどく気難しい性格だったが、うるさい子どもたちから逃れるために彼らの願いを日に一つ叶えることを約束する。だがその願いは日中しか効果がないとのことだった。

 大喜びする子どもたちだったが、美しくなりたいと願えば家の使用人によその子として認識され家から閉め出され、お金が欲しいと願えば古い金貨が出てきてしまい何も買えないどころか怪しまれて警察に連れて行かれる。翼が欲しいと願えば教会の鐘楼の上で疲れて眠ってしまい、日が暮れて魔法が消え降りられなくなってしまうなどなど。

 というわけで願いごとが裏目に出て困った事態に陥ってしまう子どもたちの姿には同情しつつも、はちゃめちゃなコメディとして素直に楽しんで読める。

 そもそも子どもたちがロンドンから田舎の奇妙な家に越してきて、元気いっぱいにはしゃぎまわり、あちこち冒険して回るという冒頭の部分がものすごく楽しく、児童文学の原型ともいえるくらいで、とても懐かしく感じられる。

 しかし英語で読むというのは意外に難しかった。まず語りが個性的でちょくちょくしゃしゃり出てきて、それがおもしろかったりするのだが、わかりにくかったりする。

 また家をお城に変えてしまったときは、一緒に城を包囲する軍隊まで連れてきてしまい、その言葉遣いはいかめしく古くさかったり、うっかりインディアンを呼んでしまったときは片言の言葉になったりするので注意が必要だった。

 そんなこんなもあって、結局古本で八木田宜子さんの訳による講談社 青い鳥文庫版を買って並行して読み進めることにした。

 思ったよりずっと楽しめたこの作品だが、100年ほど前に書かれたということで今となっては別段目新しい部分はないように見える。ネズビットという名前も日本ではそんなに知られているほうではないだろう。

 しかし日本語訳のあとがきを読むと、ファンタジー物の児童文学の先駆けとして画期的であったらしい。ファンタジー作品だからといって特別に変えることなく子どもたちを自然に描き出していること、とりわけ「いい子」でなくいたずら好きの生の姿で描かれること、魔法というファンタジックなものが日常生活の中に溶け込んでいることなどが挙げられている。

 そういわれてみれば、ごく自然にファンタジー物として読めるこの作品もものすごく新しい要素をはらんでいて、後世に大きな影響を与えたのだろう。だからこそ今では違和感なく素直に楽しめる作品と感じるのかもしれない。

 ちょっと語り口が英語で読むのはやっかいだったので、続編の『火の鳥と魔法のじゅうたん』と『魔よけ物語』、それから『Railway Children』ももう一度ちゃんと読みたいけれど、少し間を空けて他の作品を読んでみようと思う。

 余談だけれど、この作品は「お願い!サミアどん」という題でNHKでアニメ化されているらしい。「Railway Children」の邦題は「若草の祈り」になるらしいし、タイトルのつけ方がおもしろい。
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