深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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百田尚樹『海賊とよばれた男』
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遠い太鼓』のところに書いたが、今年の正月のNHKラジオの特番で『海賊とよばれた男』の朗読が放送された。うっかり一回分の録音に失敗してしまっていたところ、先日分割再放送されたので無事補完することができた。

 正月の放送のときはあまり作者のことも内容のこともほとんど知らなかったのに、2013年の本屋大賞を受賞したことで、その評判を耳にすることも多くなった。

 この物語は、国岡鐡造という人物を主人公に彼の起こした国岡商店が戦後の混乱期をくぐり抜け、国産の石油精製・販売会社として成長していく姿を描いたもの。鐡造にはモデルがあり、出光興産を起こした出光佐三がその人にあたる。
 期待して聴き始めたものの、上下巻に及ぶ小説が全て朗読できるわけはなく、主に戦後の国岡商店の再出発の部分を抜粋した構成になっている。

 そんな肩透かしを食らい、いくらか残念に思ったものの、さすがに本屋大賞に選ばれるベストセラーだけあってとてもおもしろかった。ベテラン橋爪功さんの朗読もすばらしく、ところどころ目頭が熱くなった。

 戦後の日本にもこんな人がいたんだという思いがする。敗戦国の日本では、利権を握ろうとする石油メジャーがにらみをきかせ、石油販売会社は質の悪い石油を輸入するほかなかった。

 鐡造はそんななか世界の度肝を抜く巨額の融資を取り付け、自前で巨大タンカーを持ち、質の高いガソリンを安く販売する。さらに英国が猛反対するなか、石油の国有化を宣言したイランへ唯一のタンカーを回し、無事にイランから石油を持ち帰るのに成功する。

 戦後の日本がいかに危うい橋を渡っていたのかを思い知らされる。あくまでも日本の自主性を守り、ばくちのような綱渡りで切り抜けていく姿は痛快の一言。


 と、大変おもしろく聴くことができたわけだし、やっぱりこの人物、エピソードを掘り出した取材力はすごい、と思う。本屋大賞を受賞したのも納得できる。

 ただ幼少期などの創作を自由度が高そうな部分は朗読されなかったためか、ややエピソードの羅列のような感じで淡々としているようには感じた。人物の魅力を掘り下げるような描写はあまりなかったような気がする。シナリオを読んでいるようなもの足りなさがあった。

 そういった意味では十分満足できたものの、購入したり図書館の長い予約待ちまでして、もう一回最初からしっかり読みたいとまでは思わなかった。
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