深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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Frances Hodgson Burnett『Little Lord Fauntleroy』
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“I know that," said Fauntleroy, "and that's what makes me wonder. She told me not to ask you any questions, and—and I won't, but sometimes I can't help thinking, you know, and it makes me all puzzled. But I'm not going to ask any questions. And when I miss her very much, I go and look out of my window to where I see her light shine for me every night through an open place in the trees. It is a long way off, but she puts it in her window as soon as it is dark, and I can see it twinkle far away, and I know what it says."

"What does it say?" asked my lord.

"It says, 'Good-night, God keep you all the night!'—just what she used to say when we were together. Every night she used to say that to me, and every morning she said, 'God bless you all the day!' So you see I am quite safe all the time——”

(拙訳)「わかってます」フォントルロイは言った。「それがふしぎなんです。おかあさんはなにもきいてはいけないといったから――だからききません。でもときどきかんがえちゃうんです、だってすごくむずかしいことなんですから。でもぼくはなにもききません。おかあさんにとてもあいたくなると、ぼくはまどのそとをみるんです。おかあさんは木のあいだからぼくにみえるように、まいばんあかりをつけてくれるんです。とてもとおいけど、くらくなるとすぐにおかあさんは火をつけてくれて、とおくでそれがきらきらひかるのがみえて、おかあさんのこえがきこえるんです」

「何て言っているのかね?」伯爵はたずねた。

「こういっているんです。『おやすみ、眠っているあいだ神様があなたを守ってくれますように』って。ぼくたちがいっしょにいたとき、おかあさんはいつもそういってくれたんです。まいばんぼくにそういってくれて、それからあさおきると『今日一日あなたに神様の祝福がありますように』っていってくれたんです。だからぼくはどんなときもあんしんしていられたんです――」

Frances Hodgson Burnett『Little Lord Fauntleroy』


秘密の花園』『小公女』と英語で読んできたので、同じくバーネット夫人の『小公子』も読んでしまおうということで、iBooks でダウンロードして読んでみた。

 バーネット夫人はイギリスで生まれた後アメリカに移住したらしく、この『小公子』もアメリカとイギリスの二国を舞台に大きく展開する。書かれた時期としては、前の二作より古く、出世作となった作品らしい。

 ちなみに『小公女セーラ』と同じく、こちらも『小公子セディ』というタイトルで世界名作劇場枠でアニメ化されているらしい。
 アメリカで母親と二人暮らしの少年セドリック・エロルは大人たちとも物怖じせず付き合うことのできる屈託のない人気者だった。しかし、そんな彼の前にある日、イギリスから弁護士がやってくる。弁護士はセドリックの祖父の代理人だった。

 セドリックの祖父はイギリスのドリンコート伯爵であり、父親はそのの三男だった。息子たちが相次いで亡くなったことで、セドリックを引き取り後継者として育てようというのだった。

 ドリンコート伯爵は偏屈な性格で、アメリカ人であるセドリックの母エロル夫人を息子をたぶらかした卑しい人物として毛嫌いしていた。そしてイギリスへ渡った後も母子を引き離して暮らさせる。

 セドリックの優しさと伯爵をすばらしい人格者だと疑わない無邪気な信頼に次第にほだされていく伯爵。しかしどれだけのものを与えても、少年の心から夫人の面影を消し去ることはできないのだった。

 そんな日々の中、彼らの前に伯爵の長男の妻と息子であるとする人物が現れ、正統な後継者と名乗りを上げる。その女性の下劣な性格を目の当たりにした伯爵は、避け続けてきたエロル夫人と対面し、その立派な人格に気づく。しかし、後継者争いはどんどんと不利な状況に陥っていった。

 彼らを救ったのは、アメリカ時代に大人でありながら友人として付き合ってくれていた雑貨屋のホッブスと靴磨き屋のディックだった。セドリックをしのび、その情報を欠かさず集めていた彼らは、新しいフォントルロイ卿の母親がディックの昔の女であることに気づく。二人ははるばる海を渡り、セドリックの元に駆けつけ偽フォントルロイ卿とその母の前に真実を突きつける。

 こうしてセドリックは再びフォントルロイ卿として認められ、祖父や母とともに仲よく暮らすことになったのだった。


 正直なところ、『小公女』はあまりおもしろいと感じられなかったこともあり、それと対になる作品であり、知名度も劣るこの『小公子』はかなり疑いながら読み始めてしまった。

 そういった曇り眼鏡で読み出すと、イギリスに渡るまでの友人との別れにかなりの分量が割かれていることが疑問で、何だか冗長だなと思っていた。

 ドリンコート伯爵のような人間が少年一人の力ですぐに改心しだしてしまうのも、例えば『クリスマス・カロル』のスクルージと比べてみると、あっさりしすぎなようにも感じていた。

 しかし偽フォントルロイ卿が現れるあたりから俄然おもしろくなる。冗長だと感じていた部分が物語の解決に向けて大きく関わってくる。海を越えて、さらには年齢の壁も超えて友情のために立ち上がるというのは、ダイナミックで王道的な胸の厚くある展開。

 やや弱く感じていた伯爵の改心も、偽フォントルロイ卿の母との対比によって、とても自然な流れになっていって、長い間の確執がとけるのもすんなりと受け入れられる。

 先入観によらずに素直に物語を楽しめばよかったのだ。

 そして何より物語の主人公セドリックが魅力的だった。『小公女』のセーラは少し癖のある性格で敵も作ってしまったけれど、このセドリックは誰からも好かれるというのが嘘らしくない。

 本当に邪気がなく、明るくまっすぐ人に対している。セーラのほうがリアルともいえるが、見ていて気持ちがいいのはセドリックだと思う。というか、健気でかわいいですよね。


 三作立て続けに読んできたバーネット夫人の作品の中で一作選ぶなら、『秘密の花園』がいいと思うけれど、この『小公子』は物語として一番すっきりまとまっていて好きな作品だった。

 英語でもわりと読みやすいと思うし、安心して読めるストーリーはすばらしい。児童向けの作品も改めて読んでみるとおもしろいものだと思う。


 余談ですが、祖父はドリンコート伯でその後継者がフォントルロイ卿と呼ばれるのはどういう理由なのでしょうか。イギリスの爵位制度についても今度調べてみたいと思います。
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