深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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Frances Hodgeson Burnett『A Little Princess』
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Frances Hodgson Burnett,Tasha Tudor

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“Stop!" said Miss Minchin. "Don't you intend to thank me?"

Sara paused, and all the deep, strange thoughts surged up in her breast.

"What for?" she said.

"For my kindness to you," replied Miss Minchin. "For my kindness in giving you a home.”


Sara made two or three steps toward her. Her thin little chest heaved up and down, and she spoke in a strange un-childishly fierce way.

"You are not kind," she said. "You are NOT kind, and it is NOT a home." And she had turned and run out of the room before Miss Minchin could stop her or do anything but stare after her with stony anger.”
(拙訳)「待ちなさい」ミンチン先生は言った。「あなたは私に感謝しようとは思わないのですか?」
 セーラは足をとめると、胸の奥底から奇妙な思いがこみ上がるのを感じた。
「何に対してですか?」
「あなたに対する親切にです」ミンチン先生は答えた。「あなたに居場所を提供してあげていることにです」
 セーラは先生に向かってニ、三歩あゆみ寄った。セーラのやせた小さな胸は大きく波打っていた。そして子どもとは思えない激しさでまくし立てた。
「あなたは親切なんかじゃありません。親切じゃないし、ここは私の居場所でもないわ」。そういうと、ミンチン先生が怒りに呆然と立ちつくしているうちに、呼び止められたりする前に、セーラはきびすを返して部屋を飛び出した。

Frances Hodgson Burnett
『A Little Princess; being the whole story of Sara Crewe now told for the first time』


 先日『遠い太鼓』の朗読を聴いている際、村上春樹夫妻がスペツェス島の衰退の理由を話しているところだったと思うが、夫人は小公女みたいな(報われる)物語が好きなのだ、というようなことを書いているところがあったと思う。

 ちょうど『秘密の花園』を読み終わるころだったので、このままバーネット夫人の作品を読んでいくのもいいかなと思い、iBooks でダウンロードしたものを読んでみることにした。

『小公女セーラ』といえば、世界名作劇場でアニメ化されたものが、胸糞の悪いいじめ描写でセンセーションを巻き起こしたということで有名であり、どんな目をそむけたくなるような展開があるのかと期待半分、恐れ半分で読み進めた。
 資産家の父ラルフとともにインドで暮らしていたセーラ・クルーは、7歳になったのを機に本国イギリスで教育を受けることになる。父親が選んだミンチン女子学院という寄宿学校に入学する。

 賢く物怖じしない性格のセーラはすぐに生徒の間で中心的な存在になる。しかしその性格や父親が求めた特別待遇のために、一部の生徒やミンチン院長などの嫉妬や反感を招いてもいた。

 そんな中、父親ラルフは友人に出資したダイヤモンド鉱山事業が失敗したことの心労から急死してしまう。唯一の身寄りと財産を失ったセーラに対して、ミンチン院長は反感を爆発させ、ろくに食事も与えずにセーラを使用人としてこき使うことになる。

 一変した生活の中でも、気高い心を失わずに働いていた。そんな彼女に対して、使用人のベッキーや外見にコンプレックスのあるアーメンガード、年下で甘えん坊のロッティらは、ミンチン先生や他生徒の目もある中で、変わらずセーラを慕い続ける。

 そこへ学院の隣りの空き家にインドから一人の紳士が越してくる。この紳士はラルフの友人で、失敗しかけた事業は実は成功しており、行方不明になった友人の娘を探していたのだった。

 さまざまな行き違いの果てに、セーラが探していた娘だったことを知った紳士は彼女に父親の財産を復帰させる。こうして少女セーラはイギリスでも有数のお金持ちとなり、紳士に引き取られ学院を去るのだった。


『秘密の花園』はとてもすばらしい作品だと思ったので、期待して読みはじめたものの、結果からいうと『秘密の花園』ほど好きにはなれなかった。

 まず父親のラルフという人間が好きになれない。妻をなくして娘が一人残っているとなればしょうがないのかもしれないけれど、娘を溺愛しすぎな気がする。投資に失敗し娘に何も残せず死んでいくのは気の毒なものの、よくもセーラはスポイルされなかったなあという気がする。

 主人公のセーラは母はなく、父と離れて暮らすとはいえ何不自由ない暮らしを送り、やや空想癖があるものの大変愛らしい少女として描かれている。そんな彼女は一転どん底に突き落とされても、自らを卑下することなく、絶望にとらわれることもなく、自らを哀れむこともなく、環境が変わってもプリンセスであろうと前を向いていく姿は、確かに感動的だった。

 しかし自らをプリンセスだと空想するその内心は、他の人間を見下しているような感じがして、スノッブにも思えるのだった。単に私のコンプレックスが刺激されているだけかもしれないけれど、あんまり愉快なものではない。ミンチン先生らの反感を招いても仕方ない部分があるような気がする。

 一方のミンチン先生はというと俗物には違いない。しかし、好きになれないけれど金を産むからと思って抱えていた鶏が卵を産まなくなったと知って怒りを爆発させてしまうのも無理がない気はする。

 外聞やセーラに利用価値があったからとはいえ、無一物のセーラを追い出すこともせず養ってあげていたのは事実なわけで。

 というわけで、あまり好きになれるキャラクターもおらず、最終的にセーラが財産を取り戻しハッピーエンドになるものの、セーラばかりか妹にまでこきおろされるミンチン先生の悲惨さが目に付いてしまうのだった。


 英語自体は『秘密の花園』同様、比較的読みやすいと思うけれど、あまり物語にのめりこめなかったので、集中して読めなかった。

 余談だが、先日アニメ版の最終回がテレビの特集で流れているのをたまたま見たけれど、ミンチン先生やラビニアと和解して旅立っていくというものになっていて、すっきりしない終わり方になっていた。絵はとてもきれいで魅力的だったけれど、結末はやはり原作のほうがいいと思う。
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