深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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NHKラジオ「英語で読む村上春樹」
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沼野 『世界文学とは何か?』の著者であるデイヴィッド・ダムロッシュ、世界文学の定義を「翻訳によって何か新しい価値を得る作品」と言っています。つまり彼の言う世界文学と言うのは、もとの国から別の国へと旅することが前提なんですね。だから、例えば司馬遼太郎がいくらすごい作家でも、日本の国内でしか読まれないならば世界文学ではないということになります。
(中略)
 翻訳論というと、語学的なレベルでここが誤訳だとか、文法的に取り違えているといった話になりがちですけれど、実は文化の翻訳と言うのは正しいも間違っているもない。違う文脈に移したら同じ表現が違う意味を担うことがしばしばあるわけですから、その違いそのものを考えるのが面白いのではないかと思いますね。

『英語で読む村上春樹 5月号』


 ラジオといえば、この4月から始まった「英語で読む村上春樹」も聴き始めました。テキストを買ってラジオ講座を聴くというのも久しぶりのことです。

 この講座がスタートすると聞いたときは、何で村上春樹なんだろうと思いました。普通に英語圏の作家による作品を取り上げてくれればいいのに。もともと日本語の作品を英語で読まなくてもと。

 ところが講師がロシア文学の翻訳で知られる沼野充義さんだと知り、試しに聴いてみようかと思うようになりました。

 私は村上春樹の作品をそれほど読んできませんでした。初期三部作と『ノルウェイの森』だけです。それは多分にミーハーぽいからです。(この番組にゲスト出演されている中国人の村上春樹研究者の方も同じことを語っていたので、こちらもありふれた理由ですが)。

 しかしテキストによると、村上春樹の翻訳は世界中の空港で見かけるというのです。それほどまでに世界で読まれているとは思いもよらないことでした。

 テキストでも指摘されているように、日本文学が世界でどのように消費・受容されているかというのは、考えてみれば興味深い問題で、英語に翻訳された日本文学を読むというのも十分に価値のある試みだという気になってきました。

 それにしても半年間をかけて、短編をひとつ読んでいくというのはぜいたくな時間の使い方です。何はともあれ楽しみです。


 この講座では最初の半期で「象の消滅(The Elephant Vanishes)」、後半で「かえるくん、東京を救う(Super-Frog Saves Tokyo)」が取り上げられるようです。

 講座は月の初めの3週をかけて本文を読み進め、第4週では3週分の英文を通読した後、ゲストを呼んで座談会を行うようです。

 4月は、ベネズエラと上で少し触れた中国の村上春樹研究者のお二方がゲストとなり、村上春樹との出会い、それぞれの国での位置づけなどの話がありました。


 英語を読む講座というと、ある文の意味のとり方やまとまった文章を読んでいくコツなどを期待してしまいます。しかし、この講座はそういった英文読解の技術を学ぶものではありませんでした。

 日本語を別の言語に置き換える上でそのまま直訳するだけで済むはずがありません。翻訳者が何を取り上げ、何を切り捨てるか、そこに表れる翻訳上の戦略や文化の違いなどが話題の中心になります。

 英語の講座というよりも、翻訳や比較文学の講座といった感じが強いです。実践的な英語力の向上を求めると肩透かしかもしれませんが、今までにない試みでおもしろいです。


 テキストは見開き1ページを使い、左ページに本文、右ページに解説というよくあるスタイルのものですが、英文には語句的な解説、日本語には英文と対照させるという風に分けられており、懇切丁寧です。

 その他、村上春樹をオマージュした創作短編と4、5月号では、上に一部引用した座談会が収録されていて、特にこの座談会がおもしろいです。世界で売れる文学どういうものかということについて語られています。

 もう少し繰り返しを減らすなどしてテキストが安くなったら続けやすいのになと思うものの、「象の消滅」「かえるくん、東京を救う」ともに重要な作品とのことなので、一年通して聴き続けたいと思います。
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