深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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斎藤茂吉『万葉秀歌 上』
万葉秀歌〈上巻〉 (岩波新書)万葉秀歌〈上巻〉 (岩波新書)
(1968/11)
斎藤 茂吉

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  葦べ行く鴨の羽がひに霜降りて寒き夕べは大和し思ほゆ 〔巻一・六四〕

志貴皇子

  我が背子を大和へ遣ると小夜更けてあかとき露にわが立ち霑れし 〔巻二・一〇五〕

大伯皇女

  神風の伊勢の国にもあらましを何しか来けむ君も有らなくに 〔巻二・一六三〕

大来皇女


「古事記」を読んだときに上代歌謡が難しかったので、「万葉集」はこの選集から入ることにした。

 本書は歌人である著者が万葉集の中から短歌に絞り、その10分の1ほどに当たる約400首を選んだもの。上巻には、全二十巻のうち第一巻から第七巻の中から選ばれている。

 それぞれの歌には1ページほどの評釈がついていて、歌だけでは意味の取りにくいものやそこに込められた詠み手の感情なども解説されていて勉強になる。
 率直に感情を吐露したものが多く、その意味がわかったときなどは、昔の人の心がわかった気がしてとても楽しかった。

 遠くにいる人や場所を思いやったり、親しい人の死に際してこうすればよかったとかいった気持ちは時代が移っても変わらないんだなと思う。

 ある人の歌に即興で答えたりするやり取りはとても奥ゆかしく、読んでいて心地よくなる。

 評釈は議論がわかれるところなどは細かく記されているが、大体は簡潔なもので、著者の言葉通り、歌自体を味わうことができる。

 著者はその寓意などを探るよりも語義のままに受け取る姿勢をとっていて共感することができた。また、助詞の一つひとつにまでこだわり、そこから学ぼうとする姿勢にはうならされた。詩人である著者らしいと思う。

 それにしても著者は柿本人麿に傾倒していたようで、かなりの数が収められている。次のような歌は力強い感じで私も好きです。

  青駒の足掻を速み雲居にぞ妹があたりを過ぎて来にける 〔巻二・一三六〕

柿本人麿


 また次の山上憶良の歌は自身のことを歌ったわけではないということだけれども、強く心を動かされた。

 世間を憂しと恥しと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば 〔巻五・八九三〕

山上憶良


 下巻はまだ入手できていないが、なるべく早く手に入れたい。
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