深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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Frances Hodgson Burnett『The Secret Garden』
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“You'll have to if I want you," said Colin.

"I won't!" said Mary.

"I'll make you," said Colin. "They shall drag you in."

"Shall they, Mr. Rajah!" said Mary fiercely. "They may drag me in but they can't make me talk when they get me here. I'll sit and clench my teeth and never tell you one thing. I won't even look at you. I'll stare at the floor!”

「ぼくが君を部屋に呼んだら、君は来ないといけないんだよ」とコリンは言った。
「嫌だわ!」メアリーは答える。
「ぼくがそうさせてみせる。みんなが君を引きずってでもここに連れてくるよ」
「そうでしょうね、ラージャさん!」メアリーは声を荒げた。「確かに、わたしをこの部屋に連れこむことはできるかもしれない。でもわたしをしゃべらすことまではできないわ。うずくまって、歯を食いしばって、何も話さない。あなたの顔も見ない。ずっと床ばっか見てるんだから!」

Frances Hodgson Burnett “The Secret Garden”


野生の呼び声」は想像以上に読みにくかったが、iPhone を使った英文読書は読みやすい児童文学を中心に読んでいこうと思っている。

 ここ最近読んでいたのが、バーネットの『秘密の花園』。その昔、アニメになっているのを見たことがあるものの、内容についてはほとんど覚えていなかった。

 世界名作劇場シリーズで放映されていたものだと思っていたのだけれど、どうやら私の勘違いでNHKで放送されたものらしい。

 インドに駐留するイギリス人の娘として生まれたメアリーは使用人にかしずかれ何不自由のない生活を送って居たが、両親からは無視されていた。そんなある日、伝染病で両親を失い、独り残されたメアリーはイギリスの親戚の許へ引き取られることになる。

 荒涼としたムーアの中に立つ広大な屋敷で暮らすことになったメアリー。その生い立ちから無気力で気難しい性格になっていたメアリーだったが、明るい性格の使用人マーサとのやりとりをするうちに、次第に庭に出て遊ぶようになり、生気を取り戻していく。

 庭で遊ぶうちにメアリーは壁に囲まれた場所があることに気づく。偶然、地中に埋められた鍵とアイビーに覆われた扉を発見する。壁の中は荒れた庭園だったが、植物たちがまだ生きていることに気づいたメアリーはマーサに相談し、マーサの弟ディコンとともに庭仕事を始める。

 そんな中、屋敷の中ですすり泣きを聞いたメアリーはその声のもとを探し当てる。それはコリンという少年で、館主クレイヴンの息子だった。クレイヴンは十年前に妻を失くしてから、傷心のため生きる気力を失いコリンと向き合うことを避け不在がちであり、コリンは病弱で自分が死ぬ運命にあると思い込んで部屋に引きこもっていたのだった。

 わがままですぐにむずがり使用人の手を焼かせていたコリンだったが、部屋へ来ては秘密の花園での成果を話すメアリーに影響され、自身も花園へ行ってみたいと思うようになる……。


 やはり児童向けに書かれているのか、時折混じるヨークシャー訛りなど、わかりにくいところもあるものの、かなり読みやすいものだった。それだけでなく読み物としても、非常におもしろい。

 特に物語の序盤、何もかも使用人任せだったメアリーは両親を失くし使用人が逃げ出したインドの屋敷で死ぬ恐怖すら感じず屋敷に取り残されているほど生きる気力を持たなかったのが、イギリスの屋敷に引き取られ、自ら動くことを覚えていく。

 メアリーが積極的に動き出すまでの冒頭は、インドのエスニックな感じ、屋敷へ向かう道中の不安な感じ、そこに現われるマーサという天真爛漫な使用人の出現、そして新しい環境で戸惑いながらも学んでいく。めまぐるしく変わっていく場面は、とてもテンポがよくあっという間に物語に惹き込まれてしまう。

 荒涼としたヒース、放置され荒れた庭園。決して美しいイメージではない。けれども、そこでも植物や動物たちが息づいている。その生命の営みが生きる力を失くしていた人間たちを再生させていく。その自然が持つエネルギーを感じさせてくれる。

 一歩、踏み間違えばオカルト的な気持悪さにもつながりかねないけれど、死ぬ運命にあると思っていた少年を「いつまででも生きるんだ」と叫ばせる力に驚かされる。季節がめぐり草木が芽吹く、その何でもない出来事に、「魔法」のような力が流れていること、その不思議さを実感させてくれる。再生していく庭園、芽吹きだす植物とともに健全に育ち、癒やされていく人間の姿に心地よい気分になった。

 
 素晴らしい物語だったけれど、ただ一つ残念なのは、物語の後半でメアリーがすっかり物語の背面に惹き、クレイヴン父子へと主役が変わってしまうところ。物語序盤のようなテンポのよさも薄れてしまう。

 とはいえ、何となく隠微な響きを持つ邦題とは裏腹な内容で、年齢関係なく楽しめる名作。バーネットの他の作品『小公子』『小公女』も読んでみたくなった。
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