深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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リチャード・ワイズマン『運のいい人、悪い人』
運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則
リチャード ワイズマン,阿部 真理子,Richard Wiseman,矢羽野 薫

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 では、運のいい人の期待は、彼らの振る舞いにどのような影響を与えるだろうか。たとえば、仕事の面接できっとうまくいくと思っていったら、自信過剰になって、十分に準備しないかもしれない。面白いことに、私の研究ではそのような傾向は見られなかった。運のいい人の期待は、決断を生んでリスクの高い行動をさせるわけではない。そうではなく、前向きな期待が、自分の人生をコントロールしようという意欲につながる。自分が欲しいものを手に入れるために、たとえ可能性がごくわずかでも、挑戦しようと思わせるのだ。

リチャード・ワイズマン『運のいい人、悪い人』


『その科学が成功を決める』『超常現象の科学』と立て続けに読んで、どちらも興味深かったので、その前の作品も読んでみたくて探してきた。

 本書は、著者によって行われた人間の運不運についてのの調査研究をまとめたものである。調査は数年がかりで行われ、イギリスの多くの人が参加した大規模なもののよう。

 運のいい人と悪い人がいるというのは私たちが何も疑問に受け入れていることで、事実「運」というものが存在するかのように感じている。
 しかし著者は調査を続けるなかで、運がいい、悪いというのは人によって一貫していること、それが技能や特殊能力によるものではないということがわかってきたという。

 そう、それはもっと個人的な特性、性格によるものではないか。著者は、その後も調査を続け、運のいい人の特徴を四つの法則にまとめた。

 本書ではいくつかの質問に答えながら、自分自身の「運」をスコア化しながら、その四法則をたどっていくことになる。

・法則1「チャンスを最大限に広げる」
 運のいい人は「外向性」が高く、自らのネットワークを広げていくことから出会いを得やすい。また肩の力を抜いていることから、チャンスに気づくことも多い。

・法則2「虫の知らせを聞き逃さない」
 運のいい人は直感や本能的な働きに従うことが多いのに対して、運の悪い人はあれこれと思い悩んだ挙句、虫の知らせを聞き逃してしまうか裏切ってしまう。

・法則3「幸運を期待する」
 人生には予想もつかないことが起きるし、それはよいほうにも悪いほうにも働く。しかし運の悪い人は過去の悪いことが頭から離れず、次も悪いことが起きると思う。それに対して運のいい人はいいことが起こると信じているし、悪いことが起こってもすぐに好転すると感じている。

 その結果、不確実なことにも積極的になれるし、他人との付き合いも建設的なものになりやすい傾向がある。

・法則4「不運を幸運に変える」
 不幸な出来事に遭ったときも、運のいい人はさらなる最悪が在り得たことを思ったり、それがよい方向につながるかもしれないと期待する。悪いことにこだわらず、前向きに対処をほどこす。

 そしてその後に「運のいい人」になるためのアプローチ方法がまとめられている。著者は研究をもとにワークショップなども行っているようで、その内容が紹介される。


 運、不運というものが現に存在しているわけではない。人生に向かう態度、個人的な性格がその人の行動に影響を与え、幸福を招き寄せたり遠ざけたりする。何となく感じていたことが説得のある形で示されていて、おもしろく読むことができた。

 特に強烈な印象を残したのは上に引用した部分で、運のいい人と悪い人の非対称な態度が身につまされる

 運が悪いからと初めからあきらめてはいないか、運が悪いことを大義名分にしてさぼったりしていないか。思い当たることが多すぎる一方で、幸運の上にあぐらをかかない人たちの清々しさとの違いの前に打ちのめされる。

 性格的なものとすれば、これを改善していくのはなかなかに難しいのかもしれない。だが著者はワークショップで運は鍛えることができるとしている。少なくとも運不運を逃げ場にすることは減らしていけるのではないか。


運のいい人にはワケがある! 運を鍛える《ゴリラ》の法則運のいい人にはワケがある! 運を鍛える《ゴリラ》の法則
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『運のいい人、悪い人』を読んだ後、似たようなタイトルの本があることに気づき、もののついでに読んでみることにした。

 こちらは『運のいい人、悪い人』の続編で、幸運の4法則を短くまとめたものだった。調査の方法や体験事例などは大幅に削られたダイジェスト版のようなものになっている。

 ある一つの実験――3on3バスケットボールの試合を見せてあるチームのパスの数を数えてもらうと、途中で乱入するゴリラをも見落としてしまう――を紹介し、ゴリラをキーワードに話が展開されるので、とても読みやすい。原題も「ゴリラに気づきましたか?」という実験のあとの質問になっている。

 1時間もかからずに読めてしまうような内容だが、いったん視野狭窄に落ちいってしまうと驚くほど他のものが見えなくなることを強調していてわかりやすく、時間がない人はこちらを読んでもいいかもしれない。

 ゴリラを見つけることは、脳を自動操縦から手動の「ゴリラモード」に切り替えることだ。好奇心をもち、疑問を大切にする。意外なものに出会ったら、なぜだろうと考える。ありきたりのことを、普通ではないことに変えよう。「なぜ?」と思うのに理由はいらない。決まりきった手順を破り、習慣を変えて、違う場所に行ってみよう。新しい世界に飛び込んだつもりになって、すべての瞬間を新しい経験だと思って楽しもう。

リチャード・ワイズマン『運のいい人にはワケがある!』


 1分もかからずにできるできる自己啓発、幽霊をはじめとするオカルト的な体験、幸運のなかに潜む法則と、著者の研究はどれもマジシャンらしい飛び道具的なユニークなものだ。

 一見するとそこには何の一貫性もないようだけれど、こうやって立て続けに読んでくると、著者の関心にもつながりがあるように思えてくる。

 脳を自動操縦に任せていると、人はとんでもない錯誤や不合理な思考の渦に巻き込まれていってしまうことがある。だからこそその特性を押さえて、人生をマニュアルで建設的な方向へ持っていこうというのだ。

 自らの人生を自分でコントロールしよう、そうすればもっと幸せに近づけるんだという態度は、底抜けに明るい文体とともに強く印象に残った。

 次のテーマが一体どこへ飛んでいくのかわからないけれど、また翻訳が出るようなら読んでみたいと思う。


 ちなみに私が読んだのは上の単行本版ですが、タイトルは変わっていますがこちらがその文庫版だと想われます。近くの書店には置いてなく確かめられなかったので恐縮ですが、これから読まれる方はこちらがいいと思います。『その科学が成功を決める』も文庫化されるようで、こちらもおすすめです。
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