深海魚の水槽
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岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』
ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)
(2003/07/19)
岩田 靖夫

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 愛とは、一人の絶対者が一人の絶対者へと呼びかけることである。類的な同一性の中へ相手を同化することではない。それゆえ、罪とは、他者のこの呼びかけの拒否以外のものではない。他者との対話を拒否すること、他者を避けること、あるいは逆に、他者を奴隷化すること、言いかえれば、自己を絶対化すること、それが根源の罪であるだろう。同化ではなく、呼びかけである。神が人間を呼んだように、人間も人間を呼び、それを通して神を呼ぶのである。それが、「神の似姿」であることの意味である。

岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』


 本書はヨーロッパの思想についてコンパクトにまとめられた入門書。著者は「はじめに」でヨーロッパの思想の礎石がギリシアの思想とヘブライの信仰にあるとまとめている。

 このはっきりとした主張をもとに、本書は3つの章から構成されている。ギリシアの思想とヘブライの思想がそれぞれまとめられ、最後の章で以後のヨーロッパの思想を概観している。

 ギリシアの思想の本質である人間の自由と平等の自覚からデモクラシーが生まれ、世界を支配する法則や秩序を見出そうとする理性主義から哲学や科学、数学が生まれた。

 そして創造主である唯一神を崇拝するヘブライの信仰は魔術的なものを駆逐し自然科学が生まれる土壌となった。

 また「神の似姿」としての人間という考え方は、他者を必要とする「愛」を生み、それは人間が「自由」であることを必要とした。そしてキリストに象徴される優しさが倫理面で大きな影響を与えた。
 このようにヨーロッパの思想の二つの源流にかなりのページが割かれ、普通の哲学史とは異なる特徴的な構成になっている。自己実現という考え方や愛や自由といったなじみぶかい概念がギリシアやヘブライの信仰にさかのぼることができるというところにはなるほどと新鮮だった。

 そのため第三章はかなり短いが、十人を超える思想家が考えていたことを短く紹介しているだけでなく、トマス・アクィナスやオッカムといったあまりなじみのない哲学者のことも紹介されていて興味深かった。

 最後にはきっちりと読書案内もついていて、充実した内容になっている。
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2007/12/21(金) 21:52:51 | プレサーチ
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