深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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菅野泰蔵(編)『こころの日曜日』
こころの日曜日―45人のカウンセラーが語る心と気持ちのほぐし方こころの日曜日―45人のカウンセラーが語る心と気持ちのほぐし方
菅野 泰蔵

法研
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 カウンセリングを受けることは、いとまのない人生の営みに、自らの手で踊り場を作ることのように思われます。踊り場に安定した姿勢で立ち、ゆったりした気持ちで見れば、同じ景色もさほど脅威を感じないものです。しかし、あせりにかられている人には、踊り場にしばしたたずむことがひどくもどかしく感じられます。半歩でも高く登らなければ人に先んじられ、自分一人が取り残され、競争に敗北するように感じるのです。
 カウンセラーは、あせる心に付き合い、労をねぎらい、来し方行く末を一緒に味わいながら眺め、前に進む気力が満ちるまでを共にする人なのです。出立の時に至れば、先の苦労を思いつつ幸多かれと祈り見送るしかありません。せめて、共にしたわずかの時間、苦しみや不安を我身にしみこませんばかりに話を聴くことができれば、これにまさる援助はないというのが最近の実感です。

菅野泰蔵(編)『こころの日曜日』


『心理学の「現在」がわかるブックガイド』を通読した時はあまり気にも留まらなかったのだけれど、目次を眺めていてタイトルがいいなと思い、読んでみたいと思うようになった。

「45人のカウンセラーが語る心と気持ちのほぐし方(文庫版は44人)」とあるように、診療所、大学病院などで実際のカウンセリングの現場での体験談を思ったこと、感じたことなどがまとめられている。

 ちなみに『ブックガイド』では、文庫・新書で読めるということで紹介されているのですが、単行本のほうしか在庫がないよう。私が読んだのも図書館で借りた単行本の方で、リンクもそちらに貼ってあります。
 個々のトピックはほぼ見開きの2ページに収まる分量で、「いろいろな生き方・考え方」「「自分」とのつきあい」「親、子ども、心の教育」「ストレス社会を生きる知恵」「人の心のさまざま」という5章に分けられている。ところどころにカウンセラーが自らの仕事について語ったコラムを差し挟み、巻末には個人でできる「自律訓練法」の案内を載せるという形式になっている。

 あるクライアントの悩みにこういうアドバイスをしてうまくいったとか、クライアントの質問に答えられずあの時こうすればよかったという苦い失敗例まで、それぞれの語り口もさまざま。

 しかしどの話題も、思いつめて融通が利かなくなっているような状態に向かって、もっと他の考えがあってもいいんじゃないか、という肩の力を抜くようなアドバイスが基本になっている。

 読んでいるだけでもゆったりとした空気が感じられて、伸び伸びと心地よい感じになる。平日の張りつめた態勢からふっと息をついたような雰囲気は、まさに「日曜日」。

 上に引用した「カウンセリングは人生の踊り場」というのもしっくりくる喩えで、カウンセリングがどういうものかというのを知るという面でもいいと思う。カウンセリングを受けるとなると身構えてしまいがちだけれど、少し身近にも感じられる。


 一つの話題に割かれている量が少ないので、もっと詳しく聞きたいと思う部分も多いけれど、あっさりとして読みやすく、疲れているときにはいいのかもしれない。

 ただ期限がある中で、一気に読む本ではなかったなと思う。手許に置いておいて折に触れて読んだほうがよかった。シリーズ化もされているようだし、文庫本をどこかで見つけたら確保しようと思う。
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