深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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ピーター・ドラッカー『マネジメント』
マネジメントI 務め、責任、実践 (日経BPクラシックス)マネジメントI 務め、責任、実践 (日経BPクラシックス)
ピーター・ドラッカー,有賀 裕子

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 理由はいつも同じである。「完璧な」判断などありえないのだ。必ず何らかの犠牲を伴う。「どうしても必要なもの」についても、どれかは必ず後回しにしなくてはならない。目標、意見、優先順位などを調整しなくてはならない。最善の判断といえども、しょせんは「完璧に近い」というだけで完璧ではない。しかも、リスクが伴うのだ。そのうえ、関係者に判断を受け入れてもらったり、強硬に反対している人を説得したり、リスクを抑えたりするために、必ず妥協が求められる。
 このような状況のもとで効果的な判断を下すためには、「誰が正しいか」ではなく、何が正しいかについての立場を、最初から最後まで守りとおす必要がある。いずれは妥協しなくてはならないが、そうはいっても、客観的な要求条件を満たす判断にできるだけ近いところから出発しないかぎり、誤った妥協をしてしまうだろう。つまり、譲るべきではないところで、譲ってしまうものだ。

ピーター・ドラッカー『マネジメント 3』


「もしドラ」のところでも触れたけれども、ドラッカーの『マネジメント』はかつて2分冊で刊行されていたものの、600ページ以上ある分厚い本に小さな文字がびっしり詰まっていて、とても図書館の返却期限内に気軽に読めるようなものではなかった。

 そのため「もしドラ」のみなみちゃんも読んでいた「エッセンシャル版」という1冊にまとめたものが刊行されている。こちらは以前購入して興味深く読めたものの、やはりどこか味気ない感じはあった。

 ところが「もしドラ」のヒットで「マネジメントブーム」が起きたおかげか、近所の図書館にもいつの間にか新訳の「4分冊版」が所蔵されていた。

 この「4分冊版」は400ページほどにはなるものの、ソフトカバーで持ち運びしやすく、文字も詰まっていないのでかなり読みやすい。これなら読めるかもしれないということで再び挑戦してみることにした。
「マネジメント」は3部から構成されていて、1、2巻が第1部「マネジメントの務め」、3巻が第2部「マネジャー:その仕事、務め、技能、組織」、第3部「経営層の務め、組織、戦略」となっている。

 近代の社会で何事かをなそうとすれば、基本的に組織に所属することになる。組織が成果をあけるためにはマネジメントが存在する必要がある。マネジメントが必要なのは企業に限らず、官公庁、教育機関、民間団体などさまざまであるが、近代組織のもとになっているのは企業であるため、企業の分析を中心にマネジメントに迫ろうとしていくもの。

 結果的には、気負って読み始めたもののあまり手応えのある読み方はできなかった。特に、第1部は企業とは何か、マネジメントが果たす役割、社会的責任にまで踏み込んだ内容で、少し読みにくい。

 マネジメントの全体像を描き出す試みとして、他の書物と一線を画す、この本の特色をなす部分ではあるのだろうけれど、素直に読ませてくれない。

 逆に第2部、第3部はより具体的な内容になって読みやすい。目標による自己管理(MBO)や意志決定、モチベーションなどなじみ深い話題が多いし、4巻ではより上位に移って事業戦略の考え方などが記されている。


 しかし、やはり私が「マネジメント」というものをうまく捉え切れていないのだろうと思う。マネジメントの定義はこの本でもはっきりとは示されていない。マネジャーが果たすべき役割全体としてボトムアップ的に定義するしかないのだ。
 実際に組織の中で役割を果たしていく中で、各自が直面する問題に対処していくことで実感を伴っていくものなのかもしれない。

 とはいえマネジメントの具体的な側面にクローズアップした第3巻や第4巻でさえ、問題への効果的な処方箋が示されているわけではない。何をすればいいのか安易な答えを求めて読み出すと肩透かしを食らう。

 むしろそういうところに問題があるのか、考えなければいけないのかと思考に落ちていくような、そんな刺激に満ちた本である。


 しっかり読めたとはいえないけれど、また折に触れて読み返したいと思う。そのときは「エッセンシャル版」になるかもしれないけれど、今回の読書がそのときに生きてきたらいいなと思う。
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