深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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クリス・アンダーソン『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明

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 アトム経済においては、私たちのまわりにあるたいていのものは、時間とともに価格が高くなる。一方、オンラインの世界であるビット経済においては、ものは安くなりつづける。アトム経済はインフレ状態だが、ビット経済はデフレ状態なのだ。
 二〇世紀は基本的にアトム経済だったが、二一世紀はビット経済になるだろう。アトム経済における無料とは、何かほかのものでお金を払わされることで、まるでおとり商法のようだった。結局はお金を払わなければいけないのだ。しかし、ビット経済の無料は本当にタダで、そもそも金銭がその方程式からとり除かれていることも多い。人々はアトム経済では「無料]]と聞くと当然ながら疑いを抱いたが、ビット経済では当然のように信頼する。彼らは両者の違いや、オンラインでフリーがなぜうまく機能するかを直観的に理解しているのだ。

クリス・アンダーソン『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』


 昨年末ぐらいだったと思うけれど、Apple Store の無料アプリランキングに入っていたので、何気なくダウンロードした「FREE」というこのアプリ。中身は本が一冊まるまる読めるようになっている電子書籍アプリでした。

 ダウンロードしたはいいものの無料ということで内容は全く期待しておらず、ずっと放置していました。ところが、つい最近になって読み出してみると、意外にもしっかりした内容で面白い。これ無料でいいのと思って Store にレビューを見に行くと\1,000 になっていました……。

 コンテンツビジネスが無料化していく経済状況をまとめるという趣旨に基づいて、アメリカでは電子版が無料配信されたという本書ですが、日本ではそこまではできず限定で無料となっていたようです。
 きちんと出版されていたものであると聞いてしまうとと現金なもので、内容への興味がふつふつと湧きあがってきます。図らずも限定枠を得てしまったという義務感もあって、本腰を入れて読み出したのでした。


 著者は「ロングテール」という言葉の生みの親らしく、ウェブビジネスの世界では有名人のよう。上で触れたように、本書はコンテンツビジネスのおかれた現状を整理したもので、とても読みやすく刺激的な一冊です。

 何か実際の物のやりとりが行われる経済を著者はアトム経済と呼び、このような経済で物が無料で提供されるのは、試供品など、製品版を買ってもらうことを前提に行われるものだった。

 しかし大容量記憶媒体の普及、大幅な価格低下、高速通信網の発達、整備等により、電子データの流通コストは限りなくゼロに近づいた。結果的に電子化できるコンテンツの価格が下落するという事態に直面している。このような経済をビット経済と著者は呼んでいる。

 このようなコンテンツビジネスにとって危機的な状況の中で、逆にコンテンツを無料で提供することによって成功している事例も少なからず存在する。

 本書はそういったビット経済下での新しいビジネスの手法について現状の整理、展望を行うもの。

 例えば、最近よく話題を耳にする「フリーミアム」。これは「フリー」と「プレミアム」とを合わせた造語で、誰でも基本的にコンテンツにアクセスできる一方で、割増料金を払ったプレミアム会員はより高画質・高音質のものを得られたり、広告の除去などができるといった方法で差別化を図るといったものである。

 実際に、業界にいる人にとっては戦々恐々たるものがあるだろうし、とてもここに描かれた成功例をみて楽観できるものではないのかもしれない。

 しかし、こういった流れを元に戻すことはできなくて、所与のものとして生き残りを図っていくことが必要なのかもしれない。

 コンテンツを享受する身にとっては、その仕組みや現状ががわかって興味深かった。有料だったら手に取ることはなかったもしれないが、偶然にも無料で読むことができて嬉しかったし、自らが本の内容を体験できるという試みもおもしろいと思った。無料とはいえ、それ以上の価値は十分にある内容だったと思う。
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