深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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陽気で、坦々として
 最近はなかなかゆっくりと本を読む時間も取りにくいので、iPhone に録りためた NHKラジオの朗読を入れて、作業をしながら聞いていたりします。

 片手間で聞いているのでほとんど頭に入らない自己満足の世界ですが、不意に飛び込んできたフレーズに心を奪われることがあります。

「陽気で、坦々と、而も己を売らないこと」という一節もそんなひとつで、深く共感してしまいます。
 調べてみると『山羊の歌』に収録されている「寒い夜の自画像」という詩とのこと。中也の詩集は以前読んだはずですが、この詩はすっかり失念していました。

 寂しさや孤独感はそのままに、それに一人で打ち克っていこうという力強さがあるような気がします。いささか大仰なところに照れがあるような感じもしますが、臆せず決意をうたっている。

 ちゃんと覚えておこうと思います。

きらびやかでもないけれど 
この一本の手綱をはなさず
この陰暗の地域を過ぎる!
その志明らかなれば
冬の夜を我は嘆かず
人々の憔懆のみの愁しみや
憧れに引廻される女等の鼻唄を
わが瑣細なる罰と感じ
そが、わが皮膚を刺すにまかす。

蹌踉めくままに静もりを保ち、
聊かは儀文めいた心地をもつて
われはわが怠惰を諌める
寒月の下を往きながら。

陽気で、坦々として、而も己を売らないことをと、
わが魂の願ふことであつた!

中原中也「寒い夜の自画像」


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