深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『リボンの騎士』
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えい!!

だ…
だれだっ
おまえは?

あちゃちゃ
天から
降ったか
地から
わいたか

それとも
前の
ページ
から
現れ
たか?

ナイロン卿!!
また
弱い者いじめを
しているんだな

私は
リボンの騎士

さァ
相手に
なるぞっ

手塚治虫『リボンの騎士 1』


 うっかり「少女クラブ版」を借りてきてしまったという先日の記事に続いて、手塚治虫自身によってセルフリメイクされた「なかよし版」の「リボンの騎士」を読んでみる。こちらは紛れもなく配信されていたもの。

 いたずら天使のチンクによって男の子の心と女の子の心を同時に持って生まれてしまったシルバーランド国の王女サファイアは、ちょっとした手違いから王子として育てられることになる。15歳になろうとするサファイアに、王位を狙うジュラルミン大公の毒牙が迫る、といったかたちで始まる少女マンガ。


 短期間に続けて読んでみると、やはりリメイクされているだけあって、こちらの「なかよし版」のほうが完成度がぐっと上がっているように思う。

 キャラクターのデフォルメがより進み、分量も文庫2巻分となっていることで、詰め込み感がちょっとだけ減って、肉付けが増えて豊かになっている印象を持った。そういったせいもあってか、物語も寄せ集めの借り物感がなくなっている気がする。


 前は、天使のチンクが頼りなく存在感が薄かったのが、少し抜けている、かわいらしい性格づけがされたものの、魔女と対抗する力も持っていて、より深く物語を動かしていく魅力的なキャラクターになっている。

 サファイアが王子として育てられる原因になるのも、博士のズーズー弁のせいになっていたり、同じリボンの騎士の登場シーンもより手塚治虫らしいメタっぽいちゃかしが入ったり。全体的にすれ違いの喜劇らしい滑稽さが加わえられている。

 そして何といっても魔女の娘ヘケートがかなり魅力的になっている。粗暴な印象の強かった前作より、よりいたずら好きのおてんばといった雰囲気で、キャラデザも少女っぽくなっている。フランツとの悲恋も、サファイアの女の心を飲んだからというのではなく自然に惹かれていくようなかたちになっていて、より悲しさを誘う。死に際を見せずに去っていくのも、猫をモデルにした、小動物的な愛くるしさのあるキャラクターという気がする。


「少女クラブ版」のところでも書いたように、1巻目ぐらいまでは物語へ引き込む力が強く、わくわくするような物語ではあるものの、サファイアが城に戻り、致命傷を負うあたりからは少しテンポが悪くなっているような感じはあった。それでも古今東西さまざまなネタを詰め込んで、いかにも少女物らしいストーリーに仕立て上げられていて、好きな作品になった。

「少女クラブ版」の解説で津島祐子さんが書いていたように、女性のストライキを描いてみたり、ヘケートも親のエゴに振り回される女性と見れなくもなく、現代的な問題も扱っていると思う。
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