深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
手塚治虫『リボンの騎士 少女クラブ版』
リボンの騎士 少女クラブ版 (講談社漫画文庫)リボンの騎士 少女クラブ版 (講談社漫画文庫)
手塚 治虫

講談社
売り上げランキング : 139195

Amazonで詳しく見る

ナイロン卿
また
よわいもの
いじめを
しているなっ
私はリボン
の騎士!
さあ相手に
なるぞ 

手塚治虫『リボンの騎士 少女クラブ版』


 最近の「週間手塚治虫マガジン」(iTunes Store へ)の配信は、『ブッダ』の映画化ということで『ブッダ』の配信が続いている。以前は短編や長編のさわり読みで構成されていた誌面が、長編もコンスタントに配信されるようになり、また違った楽しみ方ができるようになってきていて嬉しい。

 そんな中でも、特に好きなのが『リボンの騎士』。天使のいたずらによって、男の子の心と女の子の心を一緒に持って生まれてしまった王女サファイアが王位の簒奪を狙う大公との抗争や隣国の王子とのすれ違いの恋を繰り広げる激動の物語。

 はじめは手塚治虫の少女マンガ作品ということであんまり期待していなかったのだが、読み進めるうちにサファイアの行末がどうなるのかとはらはらとしだし、十章を超えたところで居ても立ってもいられず、図書館で借りて読んでしまうことにした。
 ところが私が借りてきた『リボンの騎士』、配信されていて読んでいたものと展開が違う。何故、と困惑し調べてみると、手塚治虫は一度書いた「リボンの騎士」をセルフリメイクしていたというのだ。どうやら配信されていたものリメイクされた「なかよし版」、私はうっかり最初に書かれた「少女クラブ版」を借りてきてしまったということらしい。

 冒頭に「世界中の美しいおとぎ話を集めてつくった絵物語」というようなことが書かれており、シェイクスピアやアンデルセン、ゲーテ、その他本当にさまざまなところからエピソードが拾い集められているのがわかる。そしてそれがひとつの物語になっているのが楽しい。

 ただ、いかんせん、この少女クラブ版はエピソードを詰め込みすぎて、展開がはやすぎる。あまりにもめまぐるしく話が展開するので、慌しく読んでいて少し疲れてしまった。男装の令嬢やおてんば悪魔のヘケートの悲恋などおもしろい要素はいっぱいあるので、ちょっともったいないなと思った。

 これはこれで好きだけれど、配信されていた話の続きが読みたい。今度はちゃんと「なかよし版」を借りて比べてみようと思う。



 と、このうっかりした話で終わる予定だったのだけれど、記事を書いている間、「週間手塚治虫マガジン」がおもしろかったので、ついでに書き留めておこうと思う。

 それは「るんは風の中」という短編。ある日、高校生のアキラは街で見かけたポスターの少女に一目惚れをする。惚けて眺める彼に突然話しかけてきた少女を彼は家に持ち帰ってしまう。転校したばかりの高校で周囲になじめない彼は、るんと名づけた少女にのみ心の慰めを見出していくというもの。

 いわゆるスクールカースト下位層の苦しみとか、二次元の世界への逃避とか、時代を先取りしているというべきなのか、今も昔も変わらないというべきなのか。あまりにもおもしろいので驚いてしまった。次のセリフなんかはもう笑うしかない。

いやだ ぼくは
るんが好きなんだ
できればきみのいる
止った世界にぼくも
はいりたい!! 

手塚治虫「るんは風の中」


 だけでなく、短い作品ながら時の経過を受ける人間とそうでないものとのコントラストが鮮やかで、その関係が非常に切ない、味わい深い作品になっている。


 同時に配信された「I・L」の「南から来た男」も悪趣味も悪趣味なんだけれども、衝撃的な結末でおもしろい。手塚治虫の守備範囲の広さがすごい。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/319-2c074755
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。