深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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今野緒雪『マリア様がみてる ステップ』
マリア様がみてる ステップ (マリア様がみてるシリーズ) (コバルト文庫)マリア様がみてる ステップ (マリア様がみてるシリーズ) (コバルト文庫)
今野 緒雪,ひびき 玲音

集英社
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『マリア様がみてる 私の巣』以来となる、「マリみて」シリーズの新刊が出ているということで、遅ればせながら読んでみた。約1年ぶりの新刊となる。

 こちらも『私の巣』と同様、コバルト本誌に連載された短編に加筆して、一冊の書き下ろし作品に仕立て直したものとなります。

 物語は、シリーズ主人公の祐巳の親世代のリリアン女学園の話になっています。姉妹(スール)制度も薔薇様たちも出てこない、男女交際の話がメインということで、「マリみて」ぽさはないかもしれず、物足りなく思う人もいるかもしれないけれど、私は好きです。

 以下ネタバレ含みます。



 さて、ここで問題です。
 いったい私は、どちらに嫉妬しているのでしょう。
 わからない。
 私は、ずいぶん長いこと発着する電車と、入れ替わり立ち替わりで流れていく乗客を横目に映しながら考えた。けれど、解答なんて出てこなかった。
 わからない。でも、そのうちわからないことは決して悪いことではないと思えてきた。
 わからないということは決して悪いことではないと思えてきた。
 わからないということは、ケンさんは「律さんに相応しくない相手」ではない、という意味にはならないか。
 そうだ、律さんのつき合う相手は、ケンさんみたいな人だったらいいと、思ったことだってあったじゃないか。
 そう思った時、答えは自ずと出ていた。
 律さんを失いたくない。ケンさんと気まずくなるのも嫌だ。
 律さんとケンさんの仲が悪くなるなんて事態は、もう最悪。
 なんだ、だったら二人を応援すればいいんじゃない。
 やせ我慢じゃなく、本気でそう思った。そうだ、律さんの恋を応援しよう。
 進むべき道が照らし出されたみたいで、ワクワクすらした。
 私は、ベンチから立ち上がって、階段を勢いをつけて駆け上がっていった。
 一段飛ばしをしたから、改札に着いた時には酸素不足でちょっとクラッとした。

今野緒雪『マリア様がみてる ステップ』


 お互いのことなら何でも知っていると思っているほどの仲良しの律と佳月。しかしある日、律から付き合っている男性がいると聞かされる。ショックを受けた佳月は泣き顔を洗うためやってきた公園で酔っ払いにからまれる。そこで助けを求めた青年に好意を持つ佳月。ところが後日、律がその青年と一緒にいるのを見かけ激しく動揺する……。

 男女間の三角関係といえばありがちだけれど、友情と異性との間で板ばさみになり、友情のほうをとってしまうというのはあまり読んだことがないかもしれない。でも年頃の女の子ならあるかもしれない。よく話が続くなあと思うぐらいいつも一緒にいる女の子二人組みっていたはず。

 この世界の異性交遊もびっくりするくらい純粋。でももしかしたらどっかにあるかもしれない、そんな等身大な少女の姿がきちっと描かれる少女小説はなかなか貴重なのではないでしょうか。スールの話でなくても十分に満足のいくものでした。

 同じエピソードを二人の少女の視点から見せるザッピング的な進行は「マリア様がみてる」らしくてよかった。また後半の文化祭シーンは特にテンポが良くて、ぐいぐいと読むことができる。いつもはちょっと微妙な今野先生のギャグもきっちり決まっていて、最後まで楽しく読むことができました。これも舞台が昭和なせいかしら。


「釈迦みて」は脱落してしまったけれど、「マリア様がみてる」はやはり好きです。「私の巣」もよかったし、本編を離れてよさが戻ってきたような気がします。1年に1冊のペースでも、こうやって続いてくれたらいいなと思います。
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