深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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A.A. ミルン『プー横丁にたった家』
プー横丁にたった家 (岩波少年文庫(009))プー横丁にたった家 (岩波少年文庫(009))
A.A. ミルン,E.H.シェパード,A.A. Milne,石井 桃子

岩波書店
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「それは、きみが悪いんだよ、イーヨー。きみは、だれのとこへも、たずねてきたことがないじゃないか? きみは、この森のすみっこにじっとしていて、ほかの者が、きみのとこへやってくるのをまってるんだ。どうして、たまには、きみのほうから出かけないんだね?」
 イーヨーは、しばらくうだまってかんがえていましたが、やがて、
「おまえのいうことにも、一理あるかもしれぬ。わしは、おまえさんがたをなおざりにしてたよ。もうちっと出歩かにゃならん。出たりはいったりせにゃならん。」
「そうなんだよ、イーヨー。気のむいたときには、いつでも、だれのところへでもかまわないから、たずねてきたまえよ。」

A.A. ミルン『プー横丁にたった家』


『クマのプーさん』を読んですっかり満足してしまっていたのだけれど、『プー横丁にたった家』という続編があることを知って、ついでと言ってはなんだけれど読んでおこうと思い立った。

 どうせなら「iBooks」で英語で読みたいなと思ったけれど、ストアには『The House at Pooh Corner』は見つからなかったので(その点ではこのアプリもまだ発展途中ですね)、日本語訳を借りてきた。

「プー横丁」と聞くと区画整理された街中を思い浮かべてしまうけれど、中身は紛れもなく「クマのプーさん」の続編。クリストファー・ロビンとクマのプーを中心とした愉快な仲間たちの森での生活を描いた物語。
 この作品では、森にトラーという虎の子どもをモチーフにしたキャラクターが登場する。「はねっかえり」といわれるトラーが巻き起こす色々なトラブルに周囲が振り回されるという話が多くなっている。やんちゃ盛りのトラーは困ったものだけれど、トラーに振り回されるいつものメンバーが気の毒でもありおかしくもある。

 プーは相変わらずおとぼけで、ピグレットも変わらず臆病で、クリストファー・ロビンをゾゾと勘違いしていたことに気づいて船乗りになろうとするところは笑ってしまう。

 ほのぼのと安心して読むことができた物語も終わりに近づくにつれて急に別れの気配が濃くなっていく。クリストファー・ロビンは学校に行って不在がちになり、フクロは家が倒れて引越ししていく。そして最後にはクリストファー・ロビンとプーだけになってしまう。

「なにもしないことがいちばんすき」というクリストファー・ロビンとはっきりと理解できないでいながら理解しようと真剣に耳を傾けるプーのやりとりは切ない。「ご紹介」ならぬ「ご解消」ととぼけたイントロダクションと響き合う最終章は痛くて、とても穏やかにはいられない。

 いつまでも子どもではいられない。幼いクリストファー・ロビンが別れの時が来たことを知り、健気にそのときを迎えているというのに、傍から見ているだけの自分のほうがもう耐えられない。


 イーヨーもよかった。いつも憂鬱で自分の不幸を悲しんでばかりいるイーヨー。うさぎに指摘されて、その不幸悲しみに自分にも責任があったのではないかと思い至るところは、身につまされる思いだった。


「ついで」というにはもったいなかった。楽しさだけでいえば、やはり「クマのプーさん」が勝っているけれど、この2冊はセットで読んでほしいと思う。
コメント
この記事へのコメント
いつもブログを見るのを楽しみにしています。これからも楽しく読ませて頂きますね!
2011/01/23(日) 01:49:05 | URL | 板橋区@大山のヘアサロン #-[ 編集]
Re: タイトルなし
コメントありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
2011/01/31(月) 22:15:23 | URL | raidou #-[ 編集]
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