深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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茨木のり子『詩のこころを読む』
詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)
(1979/01)
茨木 のり子

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 詩は感情の領分に属していて、感情の奥底から発したものでなければ他人の心に達することはできません。どんなに上手にソツなく作られていても「死んでいる詩」というのがあって、無残な屍をさらすのは、感情の耕しかたがたりず、生きた花を咲かせられなかったためでしょう。

茨木のり子『詩のこころを読む』P.78)


 アリストテレスの「詩学」を読んだときに、fc2のAmazonマイショップを「詩学」で検索すると、この本が上がってきたので興味を持ち読んでみた。

 内容は詩人である著者が心に残っている詩を集めて解説したもの。それぞれの詩は生から死までの人生のそれぞれの局面をテーマに並べている。

 タイトルから想像していた内容とは少し違ったけれど、収録されている詩はどれも読みやすく、素直にいいなと思えるようなものばかりです。
 著者の文章はですます調で優しいが、明るくどこか力強さを感じさせる素晴らしい文章。「感情を耕す」とか「言葉が離陸する瞬間」という比喩も面白くて、詩人が詩についてどう考えているかが垣間見えて興味深い。

 どの詩もいいのだけれど、特に気に入ったのは次の二つ。石垣りんの詩はぐさっとくるし、河上肇の心構えは見習いたいと思う。

  食わずには生きてゆけない。
  メシを
  野菜を
  肉を
  空気を
  光を
  水を
  親を
  きょうだいを
  師を
  金も心も
  食わずにはいきてこれなかった。

石垣りん「くらし」より


  羨む人は他になくも、
  われはひとりわれを羨む。

河上肇「老後無事」より


 ユーモアを漂わせる著者の語り口で少しトーンが重くなるのが、戦争についての記述で少し気になった。著者が生まれたのが1926年で、青春時代に戦争を体験したことが影響を与えているのかな。


 現代の日本の詩についてはほとんど手つかずだけど、ここで紹介されている詩を読んで他の作品も取ってみたくなった。とてもすてきな一冊でした。
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