深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
畝山智香子『ほんとうの「食の安全」を考える』
ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)
畝山 智香子

化学同人
売り上げランキング : 13893
おすすめ平均 : 5つ星のうち4.5

Amazonで詳しく見る

 健康にとって本当に大切なのはオーガニックかどうかというより多様な野菜や果物を含むバランスの取れた食生活で、それは決して費用が嵩むようなものではありません。旬の野菜や果物なら安価ですし、端境期や天候不順で生鮮野菜や果物が不足しているような場合には缶詰めや冷凍食品などを上手に組み合わせればいいのですから、加工品も上手に利用できれば手間隙を省きながらもバラエティー豊かな食卓になります。こういう誰にとっても有り難いはずの情報が主流にならないのです。

畝山智香子『ほんとうの「食の安全」を考える』


自身がどうも貧血らしいと判明してから、検査を受けないと、とは思いつつなかなか時間が取れないでいる。代わりといっては何だけれど、鉄欠乏性のものかも判らないまま、鉄分の摂取を心がけるようになった。

そこで気がつくのは鉄を含む食品は肉や魚といった生鮮食品が多く、手軽で廉価なものが少ないということ。食生活の改善で貧血を克服というのは、前途多難な道のりである。

健康な食生活を送るためには、かなりの出費を覚悟しなければならないのではないか。「食」をめぐる問題がニュースなどで取り沙汰されている時に感じていた疑問が再び頭をもたげてきた。
 そこでこの本を借りてきた。著者は「食の安全情報blog」で、日々膨大なニュースをクリップし発信し続けている方。

 本書は、メラミン混入事件や毒ギョーザ事件など、食の安全性に大きな疑問を投げかけることになった事件を取り上げ、食の安全評価がどのように行われているか、といった事柄を解説していくもの。

 口に入るものの中で安全基準が設けられているもののほうが少ないということに驚く。私たちがよく口にする食品は昔から摂取されてきて問題がなかったという、想像以上に単純な知見によっているということ。私たちが何となく忌避しがちな添加物や化学物質のほうが科学的な手法によって基準が定められているのだという。その点、後者の方が危険レベルまで摂取する可能性は低いのかもしれないのだ。

 また毒ギョーザ事件に関しても、人為的な混入によって発生した事件であるにも関わらず、残留農薬の問題と結び付けられ、一般的に出回っている野菜や果物まで危険であるかのような認識が生まれてしまった。高価で必ずしも安全とは限らない有機栽培の野菜を買い求めに走るよりも、人為的なミス・操作を防ぐ流通体制を見直すほうが正しかったのだろうが、パニックになった私たちはそのことに気づかなかった。

 専門的な評価についてはなかなか難しい面もあるが、この本を通して読んで感じる印象は、食をめぐる事件が巻き起こした大きな不安ほど、食の危険リスクは高くないということ。偏った食事を避け、多様な食品を食べることが結果的にリスクを分散するということだということがわかる。

 健康番組である食材が体に良いとされると、次の日にその食材がスーパーから消えるというのは頻繁に起きる現象で、身に覚えのあることでもあるが、体に良いからといってそればかり口にするのではかえってリスクを高める行為になってしまうというのは皮肉なことだ。

 健康な食生活を送るのに必ずしも莫大な費用が必要なわけではないという上に引用した著者の言葉は印象に残った。栄養が豊富な旬の食材を選び、最新の冷凍技術、加工技術の利益を受け、手を抜くことに後ろ暗い思いをしない。そしてバランスの良い食生活を送ることが大切。平凡かもしれないが、ものすごく難しいわけでもないかと心強い思いがする。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://deepseafishtank.blog123.fc2.com/tb.php/282-165afedc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。