深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『シュマリ』
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手塚 治虫

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おれは……
おれは……
なんでこんな
ザコをあいてに
戦わなければ
ならねえんだ
…………

おれが
ほんとうに
斬りてえ
のは……
…………

うしろにいて
てめえたちを
あやつってる
やつだっ!!

出てこい!
この北海道を
てめえたちの
かってには
させねえ
ぞっ!!

出てこい!!
卑怯者めら
!! 

手塚治虫『シュマリ 下巻』


『陽だまりの樹』で検索すると、時々言及されているこの『シュマリ』。同じく幕末から明治にかけて激動の時代を描いた作品だという。

 北海道開拓史、アイヌ史を扱っているというのも珍しく、興味を引かれ読んでみることにした。

 戊辰戦争終結直後、駆け落ちした女、妙を追いかけ北海道へやってきた男。倭人ながらアイヌ語で「狐」を意味するシュマリを名乗る男。
 女が戻ってこないことを知ったシュマリは榎本武揚の埋蔵金を入手し、妙を見守りながら土地の開墾をするため、荒れ狂う自然に立ち向かうことになる。

 その埋蔵金を狙う太財一家との抗争、その娘お峯を使った懐柔、さらにその上をいく明治政府など、巨大な力がシュマリの前に立ちはだかる……。


 白い髪をなびかせたカブキ者らしい風貌、右手を人を殺してしまうからと隠しているという設定など、こちらもキャラクターデザインがすばらしく、シュマリというキャラクターがかっこいい。

 ところがこのシュマリの行動原理となると、さっぱりわからない。特に私はお峯びいきだから、お峯と懇ろになりながらそれを捨てて出て行くシュマリに納得がいかない。

 それでも、シュマリは常に闘っている。家畜を狙う狼や悪党無頼者、そしてもっと巨大な北海道の自然や狡猾な権力側、時代の流れ。己を曲げず一人で闘う姿はどうしようもなくかっこいい。

 手塚治虫にはめずらしく、男臭く、泥臭く嫌いになれないキャラクター。他にも土方歳三、太財など魅力的なキャラクターが配されている。


 近代にはシュマリのような男はなじまないのかもしれない。辺境にしか生きられない人間がいて、そこには少なからず血の流れる対立があるのだろう。


 開放的な北海道の大地の絵も印象的。こちらも『陽だまりの樹』とならんで大好きな作品になった。

 また夢枕獏さんの扉絵が別のストーリーになっているという解説も、まいっちゃうなという語り口もあって、おもしろかった。
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