深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『どろろ』
どろろ (1) (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)どろろ (1) (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)
(1994/04)
手塚 治虫

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ふざけんない!!
おいらあ
人間だい!!

どんなに
みじめっぽくたって
いためつけられたって
こっちらあ
人間だぞ!!

バカヤローッ 

手塚治虫『どろろ』


 以前、映画化されたときに「手塚治虫アプリ」でも配信のあった『どろろ』。しかしプロローグだけで続きは気になったものの、その暗さもあって手付かずになっていた。

 ところが先日、図書館で読みたい雑誌が戻ってくるのを待っている間に手にとってみたら、そのまま最後まで読んでしまった。

 父親の天下取りの野望のために、体を妖怪にささげられ無残な姿で生まれ、すぐに捨てられた百鬼丸が医師に拾われ、妖怪と戦い体を取り戻して行くというもの。
 タイトルの「どろろ」は、百鬼丸が道中で出会い、旅をともにすることになるこそ泥の少年の名前。

 さて何といっても、妖怪と戦い本来の自分の体を取り戻していくというストーリー、奪われた体の代わりに仕込まれた武器で戦う百鬼丸といったキャラクターの作り方がすごい。これだけで敬服してしまう。

 しかし、父親の醍醐景光はプロローグからだんだんと弱くなっていくように思える。天下取りのために子どもをささげた割には、百鬼丸が成長した後も富樫氏の侍大将に過ぎない。百鬼丸と再会したときも動揺し、息子を助けようとするなど未練がましい。

 その暴虐な人間が背後に抱える弱さが人間らしくもあるけれど、ストーリー的には少し拍子抜け感を覚えてしまう。


 だが手塚はタイトルを「どろろ」とした。ヒーローが妖怪退治をする物語でも復讐を果たす物語でもないのかもしれない。

 過酷で陰惨な状況に置かれた人間があくまでも人間として生き、力を合わせて困難に打ち克っていく姿が描かれたのかもしれない。

 しかし直視できないような陰惨な世界を執拗に描いたためか、物語は打ち切りのような形で幕を閉じる。

 一応の完結はつけられ十分楽しめるとはいえ、もっと続きが読みたい。

 今の形では少しちぐはぐな感じが残る。やはり百鬼丸というキャラクターが魅力的に過ぎると思う。単純な英雄譚をつい期待してしまうのだろう。
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手塚治虫「どろろ」を久しぶりに読んだ。    時は室町時代。武士の醍醐景光は、48の魔物像に天下取りを願っていた。その代わりに、生まれてくる子を差し出すという。魔物たち...
2010/07/09(金) 20:14:18 | りゅうちゃんミストラル
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