深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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青砥恭『ドキュメント高校中退』
ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書 809)ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書 809)
(2009/10)
青砥 恭

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 もうじき、父の四十九日があるが、郷里に帰る金はない。義母から連絡がきたが、お金がないから帰れないと話すと、義母は電車代を貸してあげるから帰ってきなさいといった。生活保護を受ける母子家庭の普段の生活は厳しい。毎日、財布の中の残金を見て何を食べるかを考える生活だ。育ち盛りの男の子を三人、どう育てるか、悩み続ける。久子さんは「貧しいということは何もできないことです」という。「何も選べないんですよ。服も子どもの教育も、何も選べないんですよ。ついらいのは子どもたちに何もしてあげられないことです。心の教育しかしてあげられませんから」と自嘲的に話す。
「だけど、うちの子たちは苦労しているだけやさしいんです」
 そんな中でも久子さんは、がんばっていきたいと話しているが、まだこれからも、まったく先が見えない生活が続く。

青砥恭『ドキュメント高校中退』


 高校無償化法が成立したりと何かと話題の高校教育。少し思うところがあり、最近発売されたこちらを手にとってみた。

 本書は高校教諭を勤めた経験を持ち、高校中退問題に深くかかわる著者が丹念な取材を元に高校中退問題の現状を描き出したもの。

 ドキュメントという題名通り、実際の取材に基づいた底辺高校の実態、高校中退者へのインタビューを通して、半分以上が生の声に当てられている。

 残りの部分で、著者が「高校教育の義務教育化」など、数々の提言が行われている。
 底辺高校では学力が低く、授業についていけず脱落していく。基本的な生活習慣を身につけていないため、学習指導ではなく生活指導の面が強くなり、学校側の締め付けも厳しくなり、それが教師-生徒間の軋轢を生む。

 学校側も疲弊していて、下手をすればやめて欲しいとすら思っている。

 そして著者はこういった実態の背景に家庭の貧困問題があることをあげる。親の教育に割ける余裕の有無が家庭によって大きく違うし、家族からの暴力などが原因の場合もある。

 高校中退者がその後に直面する厳しい現実と直面する。就職での差別による低賃金労働やつながりを求めての性交渉への依存は新たな貧困の種を蒔く。

 一度陥ってしまえば挽回することのかなり難しいループが待ち受けていることになる。これを本人の怠惰といった原因だけに

 高校中退者は社会に恨み言を漏らすのではない。ただただくたびれはてている姿は、胃がきりきりと痛むようなつらさがある。

 現状、ここから脱け出すには家族の全面的なバックアップが必要になっている。しかしそれを得られるケースは少ないと思う。

 この国で子どもを育てるということのリスクの大きさがひしひしと伝わってくる。
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