深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『ブッダ』
ブッダ全12巻漫画文庫ブッダ全12巻漫画文庫
(2002/11)
手塚 治虫

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苦行もしない
人間といったん
だね……

……あなた
がたは知ら
ないのだ……

この森で
あれほどの
苦しみと
闘って
いる人間が
ほかに
いますか!? 

手塚治虫『ブッダ 第2巻』


『MW』に始まり、ややマイナーな手塚作品を読んできて、分量が多くなかなか食指の動かなかった代表作と呼ばれる作品も読んでみたくなってきている。

 この『ブッダ』も文庫版では12巻と分量が多く感じるが、ライブラリー版では8巻、読み出すと長さは全く気にならなかった。

 本作は文字通り、ゴータマ・シッダルタという釈迦族の王子だったブッダが悟りを開き、多くの弟子を抱えるようになる姿を描いたもの。
 その特徴はブッダが悟りを開いた後も何が正しいのか思い悩み、自らの生き方に疑問を抱き、苦しみ続ける。女性に迫られおどおどし、仲間の裏切り、弟子の死に涙する。

 数々の奇跡的な言い伝えもある中で、ブッダに限らず多くの神秘的な現象ももちろん登場するが、あくまでも人間的な存在として描かれているのが印象に残る。


 カースト制度という厳しい身分社会が存在し、生まれながら生き方が決まっている社会。また数多くの生物が存在し、豊かな、しかし時には猛威を振るう自然。

 そうした風土の中で、ほとんど裸という姿でさらされている古代インドの人間たちの姿が丁寧に描かれていてブッダの出現に違和感を与えないようになっていいる。

 スードラやパリアといった身分に生まれた人間は飢えや病気、暴力に苦しんでいる。生老病死が巷にあふれているのに、支配階級のバラモンは苦行と称して、自らを苦しめ続けることのおかしさ。


 ここに説かれるブッダの教えは印象的であるものの、素人目からはやや手塚的な味付けが強いような感じは少しある。

 しかし、タッタやミゲーラ、アジャセ王子やルリ王子など、架空の人物を仏典に出てくるエピソードや人物と交じわらせ、脚色して、壮大で物語にする手塚治虫の手腕はさすが。
 8巻という分量も飽きずにあっという間に読むことができる。

 しかし悟りを開いた後、私たちがよく目にするブッダのイメージになってからは、作者自身が指摘するように、ややだれる感じはある。

 スジャータの死を契機に生命の源に触れる青年ブッダの姿までは文句なしにおもしろい。
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