深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『ばるぼら』
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そのとおりだ
おれの人生も仕事も
無に帰るのさ

しょせん
芸術なんて
そんな
もんだ

いつかは
朽ちはてる

忘れ
去られる 

手塚治虫『ばるぼら 下巻』


 ここ最近いくつか手塚治虫作品を読んできて、気になっていた手塚作品をまとめて読んでいこうと思うようになった。

 この『ばるぼら』もその一つ。
 流行作家としてもてはやされている美倉洋介は新宿駅でヴェルレーヌの詩を口ずさむフーテン少女バルボラと出会う。それ以来、美倉の部屋に居つくようになったバルボラ。

 ある人はバルボラは芸術の女神ミューズの一人だという。バルボラと過ごす奇妙な生活の中で、美倉は代表作を書き上げ絶頂期を迎える。

 しかしあることからバルボラを失った美倉の転落が始まる。時が流れ、彼のことをすっかり忘れているバルボラと再び出会った美倉がとった行動とは……。


 美倉洋介はダンディな作家で、女性からの人気も高い流行作家。しかしその裏では異常性欲に悩まされているとされている。

 ところが実際のところ、美倉がそういったただれた生活を送っているという描写はあまりない。バルボラを諭したりするので、むしろ常識的な人間にすら見える。

 しかしこの作品がたたえている雰囲気は頽廃的で、甘ったるくただれている。。

 バルボラという少女に翻弄される中で、美倉の抱える狂気的な側面が表面に出てくる。

 物語で語られることが現実の出来事なのか幻想の世界なのか。読んでいるほうも、その二つが交じり合った奇妙な世界に翻弄される。

 物語の中で、美倉が書き上げた作品が作中世界とリンクし始める。そして最後に物語の全体が明らかになる。
 この二転三転する世界に翻弄されっぱなしだが、とても好きだ。


 下巻になると現実に存在する呪術とリンクしていくので、やや現実的な面に戻ってきてしまう感じがある。

 だがバルボラを失ってからも、一人の少女に執着していく作家としての美倉の姿がすごい。

 今まで読んだ手塚作品の中でもかなり好きかもしれない。ストーリーだけでなくて、気持ちの悪い絵も素敵。
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