深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『七色いんこ』
七色いんこ (1) (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)七色いんこ (1) (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka)
(1997/03)
手塚 治虫

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役者だってそうだ
毎日こき使われてりゃ
ボロボロになるんだ

そして
うけなく
なると
ポイか
……… 

手塚治虫『七色いんこ 第3巻』


 ここ最近すっかりおなじみになった iPhone の「手塚治虫アプリ」で、一番多く取り上げられているかもしれない本作。

 代役専門で舞台に立つ謎の役者、その裏でお金持ちの観客から金品を盗む泥棒七色いんこ。いんこを追いかける刑事でありながら、次第にいんこに惹かれていく千里万里子。有名役者に演技を仕込まれた犬玉サブローなどのキャラクターを中心にした一話完結のコメディ作品。

 各話では古今東西の戯曲をモティーフにしており、七色いんこが舞台で演じるだけでなく、ストーリーにも反映されるといったおしゃれなつくりになっている。
『文章<上達>秘伝スクール』でだったと思うが、読むべき作品と推奨されていたと思う。またいんこと刑事の関係にどんな結末がつくのか気になっていて、読んでみることにした。


「ブラックジャック」とやや似ているのかなと思うけれど、こちらの七色いんこはドジで間の抜けたところがあり、コメディ色の強い作品。

 七色いんこが紙面から跳び出して作者に文句をいうなどメタメタな展開もあって、遊び心も多く取り入れられているが、訳のわからないものも多い。特に、いんこのホンネというキャラクターはちょっとくどいかなと思う。

 しかし道化役で、絶えず変装していて正体の見えない姿は、全体的にくたびれた人間の悲しさのようなペーソスがあってしんみりとした雰囲気もある。

 モティーフになった作品と見事にはまっているものは、やはり強く印象に残っている。「電話」「ゴドーを待ちながら」や「十一ぴきのねこ」などが好きだ。


 そして突如訪れる終幕。七色いんこと千里刑事の過去が明かされる。いんこに芝居を教えたトミーという道化役者が好きだ。手塚治虫は戯曲についても広い知識を持っていて驚かされる。

 権力に抗う役者の姿、最後まで描き切らない結末など、これもまた怒涛の展開で圧倒される。


 それにしても手塚作品は話の畳み方がうまいので安心して読める気がする。
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