深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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アリストテレース「詩学」 / ホラーティウス「詩論」
詩学 (岩波文庫)詩学 (岩波文庫)
(1997/01)
アリストテレースホラーティウス

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 悲劇とは、一定の大きさをそなえ完結した高貴な行為、の再現(ミーメーシス)であり、快い効果をあたえる言葉を使用し、しかも作品の部分部分によってそれぞれの媒体を別々に用い、叙述によってではなく、行為する人物たちによっておこなわれ、あわれみとおそれを通じて、そのような感情の浄化(カタルシス)を達成するものである。ここで快い効果をここで快い効果をあたえる言葉とは、リズムと音曲をもった言葉のことを、またそれぞれの媒体を別々に用いるというのは、作品のある部分は韻律のみによって、他の部分はこれに反し歌曲によって仕上げることを意味する。

アリストテレース「詩学」より


『驚異の魔術師』の解説でカルデロンは三一致の法則を無視したという記述があり、同時にこの「詩学」にも触れていたので興味を持ち手にとってみた。

 岩波文庫版はアリストテレースの「詩学」とホラーティウスの「詩論」が併せて収められている。一時期まではラテン語のほうが普及していたため、ホラーティウスの「詩論」をもとに「詩学」が理解されていたのだという。

 しかし「詩学」のほうは体系だって理論的に描かれているのに対し、「詩論」のほうは知人に宛てた書簡詩の形式で比喩なども多く取りとめなく書かれた感じがする。

「詩学」のほうは人物造型や効果的な筋はどういったものかといた事柄から、文体論や音素などの文の構成要素の分析、語の機能の分析や文体論といった言語学的なところまで多岐にわたり整然とコンパクトにまとめられていて、かなりおもしろい。後世に与えた影響を考えても、読書に興味がある人は読んで損はないと思います。

 わたしは、ありふれたものから詩をつくりたい――それを見て誰もが、同じことが自分にもできると楽観し、実際に試してみて大汗を流し、無駄な努力を費やす羽目となる、そのような詩を狙いたい。語の組み立てと結びつきの力はそれほど大きく、万人の共有物から取り出してきたものにはそれほど大きな栄誉があたえられる。

(ホラーティウス「詩論」P.244)


 一方のホラーティウスについては、アリストテレスがその内的な統一性を重視したのに対し、読者に働きかけ喜びと有益なものを与えることを重視したようである。


 以下、「詩学」のメモ。アリストテレースによれば、人間には模倣から学び、またそれ自体に喜びを見出す本性がある。そこで韻律を持った言葉で人間の行為を再現する営みが詩作ということになる。

 讃歌や諷刺詩は次第に劇として発展していく。そのなかでもすぐれた人間の行為を再現するのが悲劇であり、劣った人間を描くのが喜劇である。また悲劇は人物を描くのに対し、喜劇はどちらかというと出来事を描くことが目的になっている。

 アリストテレースは悲劇を最高の表現と考えていて、その本質を探っていく。悲劇は次の6つの要素から構成される。再現する媒体である語法と歌曲、その方法である視覚的装飾、その対象である筋、性格、思想である。

 性格とは文字通り登場人物の行動や選択に表れる性質のことであり、思想とは登場人物が話す言葉によって何かを成し遂げる力、つまり弁論能力のことである。

 そして中でも特に重要なのが、筋である。なぜなら悲劇は人間の行為と人生を再現するものであり、出来事を描くことは悲劇の目的そのものだからである。

 そして彼が重視するのが、筋が全体として統一したまとまりになっていることである。つまり行為同士の結びつき、つながりを大事にしながら行為を並べ出来事を再現することである。

 そしてその出来事は「起こりそうなことを、ありそうな仕方、また必然的な仕方で」描くことを通して普遍性を得なければならない。

 そしてその筋が最も人を動かすのは逆転や認知、苦難が必要になる。逆転とは善意の行為が悪い結果を生むというような反対のほうへ行為が変わること、認知は「オイディプス王」がその素性を知るときのように無知から知へと移ること、苦難は人間が苦痛を受けたりすることである。
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