深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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今野緒雪『マリア様がみてる 私の巣』
マリア様がみてる―私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)マリア様がみてる―私の巣(マイネスト) (コバルト文庫)
(2009/12/25)
今野 緒雪

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 明けましておめでとうございます。今年ものんびりと続けていこうと思っています。


 新年最初ということで、「マリみて」の新刊から。
 スピンオフ作品の「お釈迦様もみてる」は無事シリーズ化されたようで巻数を重ねているが、求めているものとはちょっと違うなあという気がしています。

 しかし、スピンオフ元の「マリア様がみてる」シリーズはやはり好きなことに変わりなく、新刊が読めるのは嬉しいです。
 今までの流れから短編集だと思い込んでいたのですが、コバルト本誌に掲載された作品に加筆し、書き下ろしへ仕立てたものになっています。

「梅と昆布、どっちがいい?」
 環さまは、私に尋ねた。もともと持っていたコンビニの袋から出てきたのは、何とおにぎりだった。
「漬物は、生憎売りきれだったの」
 三角形のおにぎりを両手に持って、「どっち?」とゆっさゆっさ振る。
「いえ、私は結構です」
「そう?」
 私が断ると、環さまはビニールフィルムを破って、一人でおにぎりを食べ始めた。
 私は、まぶしい空を見上げて、白い雲がゆっくり流れるのを眺めた。環さまが食べている間は、二人の間に会話がなくても許されるような気がした。
 きっと私は、こうしてほんの少しだけ、環さまの隣で無言の時間をもちたかったのだ。

今野緒雪『マリア様がみてる 私の巣』


 早くに父をなくし、母親と二人で暮してきた朝倉百。母親の再婚が決まったことで百は頻繁に胸が苦しくなるようになってしまう。ある日、めまいを起こし倒れた百を保健委員で一つ上の学年の筒井環が家まで送ることになる。初対面なのに妙に馴れなれしい環に戸惑う百だったが……。

 以前は短編集でもいわゆる「のりしろ」部分があって、山百合会のメンバーを軸に話が展開されてきましたが、今回は初めてまるまる一巻、山百合会以外の生徒を中心に展開されます。その点で合わない方もいるかもしれませんが、個人的にはとても楽しめました。

 母親から自立したつもりで祝福したいと思っていても、本当は母親を必要としている弱い部分を抱えている。

 傍目からみれば大した問題でもないかもしれないし、取り立てて大きな事件が起きるわけでもない。しかし一人の少女が日々の暮らしの中で他人と出会い、少しずつ変化していく。少女小説としてのつぼがきっちり押さえられています。

 百が母親の結婚を受け入れてからはシリアスな展開は全くなくなります。母子家庭から突然大きな屋敷で大勢のメンバーとともに暮らすことになった百の視点で、大家族の日常生活のドタバタが淡々と描かれていくだけ。それだけなのにとても心地よく、飽きがきません。

 それは他人だった人物たちが家族という一つの強いつながりをつくっていく姿が垣間見れるからなのだろうと思います。


 シリーズのファンとしては、クラスメートとの間に垣根を作っていた瞳子が新学年になって元気に走っていくまでになっている姿が印象的です。祐巳の妹問題ではいろいろ曲折がありましたが、瞳子のこの変化を整理する形でみせてくれたらいいのになと思います。

「あとがき」によれば、瞳子や乃梨子の妹問題など、新学年の話もあるようなので、今後の展開を楽しみに待ちたいところです。
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