深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『きりひと讃歌』
きりひと讃歌 (1) (小学館文庫)きりひと讃歌 (1) (小学館文庫)
(1994/11)
手塚 治虫

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あなたはイエスのように
嘲笑と蔑視の中に
一生をおわるかもしれない
たえられないような
苦しみを続けるかもしれない

だが ミス・ヘレン
それを神から あたえられた
試練だとは思いませんか?
それにたえて つよく
りっぱに生きぬこうと
思わないのですか?

手塚治虫『きりひと讃歌 第1巻』


『MW』の記事で触れた「手塚治虫アプリ」(iTunes Storeへのリンク)が、当初10月まで配信の予定だったものが来年3月まで延長された。今も毎週楽しみにしている。

『MW』のような、劇画タッチでややグロテスクのものに惹かれることが多い。何だかなと思うものの、いくつか続きが気になるものを読んでいきたいなと思っている。

 そのうちの一つがこの『きりひと讃歌』。医学部出身の手塚治虫が『ブラックジャック』の3年前に描いた作品で、医学会の暗部を描いた作品。
 四国の山中の村で発生する体が犬のように変形していく奇病モンモウ病。その研究に取り組む若手の医師小山内桐人は、指導教官の竜ヶ浦と病原をめぐって対立する。医師会会長の座を狙う竜ヶ浦は桐人を四国に送り込む。竜ヶ浦の思惑通り、自身モンモウ病にかかった桐人は異形の身となりながら世界各地を遍歴していく。

 配信されたのは桐人が四国に向かうところまでだが、キリストを思わせる名前もあり、若く実力もあり婚約者もいる桐人が転落し受難していくのは容易に想像がつき、期待して読み始めた。

 しかし自らも病に侵されるのは当然として、中国へ売り飛ばされ、中東各地へと遍歴していく過程は突拍子もなさすぎて、少しついていけなかった。

 そういうこともあって、世界中の苦しみを描き、桐人がその業を背負っていく姿を描きたかったのかもしれないが、あまりのめりこめなかった。

 その反面、モンモウ病の研究をする同僚で友人の占部が、南アフリカで同様に全身が変形する病にかかった白人修道女ヘレンと出会い、病の核心に迫りながら、次第に精神を病んでいく過程のほうが興味深かった。

 桐人のように教授の誤りを正し、自らの信念を貫く勇気もなく、そのことから女性に対して暴行をはたらく。かといって、悪人になりきることもできない。

 図式的かもしれないが、人間の弱い面がわかりやすく描かれていて、ダイレクトに迫ってくる。

 難はいったものの、桐人が復讐に燃え日本に戻ってからは、息もつかせない怒涛の展開で圧倒された。


 やはりマンガということで、絵もすごかった。占部が2人の女性をレイプする場面、竜ヶ浦教授が自らの敗北を知る場面などはかなり抽象的な描かれ方がされている。その顔にはインパクトがあり、脳裏に焼きついている。
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手塚治虫の「きりひと讃歌」を読んだ。     大学病院の内科医、小山内が主人公。四国の辺境で発生した奇病、モンモウ病。人が獣のような姿になって死ぬ。この病気を調べるべく...
2010/05/08(土) 14:33:51 | りゅうちゃんミストラル
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