深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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ランス・アームストロング、サリー・ジェンキンス『毎秒が生きるチャンス!』
毎秒が生きるチャンス! ナリッシュブックス毎秒が生きるチャンス! ナリッシュブックス
(2004/09/29)
ランス・アームストロング曽田 和子

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 死病は、人にふりかかる災難がたいていそうであるように、突然やってくる。予感にもたいした意味はないし、予告もない。ある朝目覚めると、急に肺やら、肝臓やら、骨やらがおかしくなっている、ということになる。だが、死に瀕すると、余計なものはすべて取り払われて戦闘準備がととのい、それから、目からうろこが落ちるように、はっきりとわかってくるのだ。時間は限られている、だから、毎朝毎朝新たな気持ちで目覚め、この日をきちんと生きるチャンスはこの日一日だけだと自覚しなければならない、と。その一日一日を紡ぎ合わせて目的意識と行動力に富んだ人生にしていくチャンスも、これ一回だけと自覚しなければならない、と。

ランス・アームストロング、サリー・ジェンキンス『毎秒が生きるチャンス!』


 いまだにロードレースはあまり観戦したことがなく、よくわからないのだけれど、ランスが現役復帰したり、ツール・ド・フランスで日本人があるステージで5位になったりと何かと話題になっている。

「僕の人生は長くつらい上り坂を上るためにある」というこれ以上ないぐらいぴったりとした、すばらしい言葉を残したランス・アームストロングの『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』。その続編がにあたる著作があると知りと知り、借りてきた。

 この癌を克服し、ツール・ド・フランスで勝利するまでの半生をつづった前作に続き、本書では2003年にツール5連覇を成し遂げ、前人の記録に並ぶまでのランスの活動・考え方がが記録されている。
 原題は「Every second counts」で一瞬一瞬が大事なんだ、というような意味らしく、カルペ・ディエムこの日をつかめ、という著者の考え方からきている。それを「毎秒が生きるチャンス!」としたのは、なかなかおもしろいと思う。

 前作は生い立ちから自転車との出会い、癌との闘いを経てツール・ド・フランスで総合優勝するという劇的な流れがあった。

 本書では、何度も繰り返される検査にも関わらず一向に晴れない薬物疑惑との闘いや一度頂点を極めた人間が勝ち得た名声や多忙の中でさらなる挑戦を続けていけるのかという問題、癌の再発への恐怖、癌患者への支援や9.11での支援活動など、話題は多岐にわたっている。

 若かったときのようなやんちゃっぷりもだいぶ落ち着いてきているようで、その点ではやや地味で平板な印象を受けるところはある。

 しかしランスの力強く前向きな人生の考え方はあいかわらず随所に見られ、下手な自己啓発書よりも勇気づけられるような気がする。

 特に失敗を恐れず、それさえもよいものだとして次へ方向へつなげていこうとする精神の強さはかっこいい。

 どこでこういう心の持ち方を身に付けたのだろうと思う。やはり癌で死に臨んだことが彼を強くしたんだろうな。

 また文章も巧みでライターがいるんじゃないかと疑いたくなってくる。短い歯切れのいい文章はアスリートらしい


 盛り上がりには欠けるといったものの、後半部分はツール・ド・フランスについての話題が中心で興味深い。ただ走っているだけでなく、いろんな駆け引きや暗黙のルールがあったりということがわかり楽しめる。

 特に最終章はランスが最も苦戦したという2003年のツールの話題になっていてとてもおもしろい。章題になっている「もう一つのフィニッシュライン」も伏線になっていて、もうだめかと思わせながら逆転させる筆の運び方は見事でした。


 amazonではかなり高騰しているが、こちらもいい本なので文庫になればいいなと思う。
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