深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』
続・日本人の英語 (岩波新書)続・日本人の英語 (岩波新書)
(1990/09)
マーク ピーターセン

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 それが英訳だったということを考えると,おかしなことではあるけれど,アメリカで『山の音』を読んだとき,人には伝えにくいようなこころづいよい気持ちが段々わいてきた.極端に言えば,アメリカに生まれ育った私は物心がついて以来,なぜか自分が常に周りに人から精神的に微妙に外されているような気持ちがあったが,目立たない身体の障害を隠したくなるように,私はその小さな孤独を自分にもずっと隠そうとしてきた.私はその小さな孤独を自分にもずっと隠そうとしてきた.驚いたことに,The Sound of the Mountain を読んだとき初めて,その孤独感こそが誰かに「承認」されたような気持ちがして,とまどいながらも,大いに嬉しかったのである.だから,その小説が部分的にも「病的」だと言われたら困る.

マーク・ピーターセン『続 日本人の英語』


 とっくの昔に読んだような気がしていたのだけど、続編はまだだったようなので早速読んでみることにした。

 本書は日本人の書く英語にネイティブの目にどう映るか、その違和感をまとめた『日本人の英語』の続編。著者はアメリカ出身の日本文学研究者。

 正直なところ、だいぶ前に『日本人の英語』を読んだときはなかなかに難しく、あまり印象に残らなかった。しかし今回はどの内容も興味深く、多少は私の英語力もましになっているのかもしれない。
 前巻と同じく、冠詞や名詞の単数形と複数形、前置詞や時制といった面で、日本人の英語が奇異に映るポイントが指摘される。そしてその背後には英語特有のどういう論理が働いているかを解説してくれる。

 これらのポイントは実際に英作文の問題を解いている時などに、何とか文の骨格を思いついたとしても、冠詞をつければいいのか、単数形でいいのか、と最後まで悩むところでかゆいところに手が届く内容になっている。

『日本人の英語』のほうが扱っている内容が広いがやや読みにくいのに対して、本書は映画や文学作品などを題材にしているので楽しんで読める。最後は外国語の研究者として、翻訳の問題、日本語との出会いなどが描かれていて興味深い。

 うまく訳された文章は何気なく読み飛ばしているような母国語の文章にどのような働きでそういう文章になっているのかというところに気づかせてくれることもあるんだなと思う。

 川端康成のサイデンステッカーによる名訳に著者が強い影響を受けたように、母国語を外国の翻訳で読むというのも満更無駄ではないのではないかと思った。

 たくさんの文章に意識的に触れることの大切さを教えてくれる一冊。
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