深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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高階秀爾『続 名画を見る眼』
名画を見る眼 続 (2) (岩波新書 青版 785)名画を見る眼 続 (2) (岩波新書 青版 785)
(1971/05)
高階 秀爾

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 つまり、印象派の画家たちは、あまりにも徹底して写実表現を求めた結果、絵画による写実表現の限界を明からさまにしてしまったと言ってよい。光の表現と空間設定と、その両者を同時に完全に実現することができないといういわば絵画本来の宿命のようなものが、印象派の大胆な実験によって明らかになったのである。
 とすれば、印象派に続く世代の画家たちが、絵画とは何かということをあらためて考え直すようになったのも当然のことと言えるだろう。そして、その結論は、ゴーガンの弟子であったモーリス・ドニの次ぎの言葉に要約することができる。
「絵画とは、戦場の馬とか、裸婦とか、その他何らかの対象である前に、本質的にある一定の秩序で集められた色彩によって覆われた平坦な面である」

高階秀爾『続 名画を見る眼』



 前作を読んでから読もうと思いながら半年以上経ってしまった。

 本書はファン・アイクからマネまでの絵画史をたどった『名画を見る眼』の続編。前作に続き、モネからモンドリアンまでの14人の画家を紹介しながら、近代絵画の流れを解説している。

 私はいつも絵画に憧れを抱いていたものの、描くほうも見るほうもからっきしだめで。昔この本でも紹介されているゴッホの「アルルの寝室」を見せられて、「違和感ない?」と聞かれたこともあるんですが、何がおかしいのかわからなかったぐらいです。

 しかし、著者の本はとても読みやすく刺激的で、読み始めたら止まらない。難解な20世紀の絵画がどのような意図に基づいて描かれているのか、なぜそのような方法をとったのかを丁寧に解説してくれている。
 前作でもそうだったが、あくまでも個々の作品を紹介するスタイルをとりながら、絵画の技法や絵画史の展開といったことも併せて学ぶことができ絵画の入門書としても最適で、著者の筆運びはすばらしい。


 たとえばモネの「パラソルをさす女」では、背景に溶け込むような色づかいで描かれている光の中に立つ女性が輪郭線も明瞭でないのにそのはっきりと存在を感じさせるように描かれていることを指摘し、当時チューブ入りの絵具が完成し、屋外で画架を立てることが可能になったことが印象派に光の豊かさを発見することに寄与したと続ける。

 印象派の画家たちは太陽の光のもとで様々に変化する対象の色を再現しようとした。しかし絵具を混ぜ合わせて色を作ると減法混色によって暗くなってしまう。そこで彼らは原色に近い色の細かいタッチを並べて中間色を表現するという色彩分割という手法を考え出した。

 しかしそういった手法は明確な形態を表現することが難しく、モネは風景画ばかりを描くようになる。そしてモネの生涯についてその背景となるエピソードを紹介した後、あくまでも肉感的な対象の表現を求めた結果、印象派と訣別することになるルノワールへと移っていくという感じ。


 不満をあげるとすれば索引がなく後から参照するのに不便なことと、図版がカラーでないことぐらい。インターネットでカラーのものを探したり、カラー図版を参照しながら見るといいと思います。
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