深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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手塚治虫『mw』
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なぜ そうも
あの悪魔に
魅せられるんですかね?

それは
あなただって
おなじことで
しょう?
神父さま

バカな!!
私は…あの男が憎い
ただ 憎む力が
乏しいだけなんだ

それは
いい逃れに
聞こえ
ますわ

……私は もう
なにがなんだか
わからなくなった
主の祝福を
願った人たちが
みんな一人残らず
不幸になり
そして結城の
ような人間が
祝福される
なんて…

悪魔も神さまも
結局 同じもの
なんじゃないかしら?

だまれッ

手塚治虫『mw 2』


 さて私も iPhone が実質0円になるというキャンペーンにホイホイされて、この3月からiPhone ユーザーになっています。

 そのアプリに「週間手塚治虫アプリ」というのがあり、毎週手塚治虫の読み切り作品や長編の一部が配信され、お試しで読めるようになっています。

 今まで手塚治虫はぽつぽつと読んだことがある程度だったのですが、こうやって触れてみると、もうこの頃からいろんな要素が試されているのに驚かされます。

 ここ最近配信されていたのが「mw」。何週も続けて配信されるのは今までなかったのでふしぎに思っていたのですが、最近映画化されたとか。全く知りませんでした。

 何はともあれ、手塚治虫のイメージとはかけ離れた内容に衝撃を受け、無性に続きが読みたくなったわけです。

 この作品は、在日米軍が極秘裏に開発していた毒ガス mw の漏出事故により罪悪感を持たないサイコパス的な性格になった男、結城がその美貌と能力を駆使して、社会的な階段を昇りながら、その裏で数々の犯罪に手を染めながら mw の真相を追いかけるというもの。

 ご都合主義的な展開といわれればそうかもしれないが、主人公結城の目的のためには手段を選ばない性格が強烈。やっていることは非道いけれど、ジュリアン・ソレルのように魅力的。

 神父でありながら結城と同性愛的関係にありその罪を告発できず苦悩する賀来やレイプされながら次第にその魅力に囚われていく澄子など脇役もおもしろい。

 2巻になって結城の目的がはっきりとし、現実離れした展開が増えると、わくわくする感じは減っていく。澄子との絡みがもっとあるかと思っていた。

 しかし最後に待っているどんでん返しはある程度予想はできても衝撃的。単純な勧善懲悪に落とし込まず、どこまでも悪い後味にはにやりとさせられる。

 善と悪、毒ガスという大量殺戮兵器、同じ日本にあって日本が干渉することのできない米軍基地。そういった様々な問題にも含んでいる。結城もそうだが、その結城を生み出した人間の営みのグロテスクさを描き出そうということなのかもしれない。

 しかしそれを興奮しながら読み進めている自分自身が一番気持ち悪かったりする。
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