深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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中島義道『「私」の秘密』
「私」の秘密―哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ)「私」の秘密―哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ)
(2002/11)
中島 義道

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「開かれた問題」は現実的に閉じることはできない。ただ、精緻に誠実に記述していくことによって、その言語の全体がわれわれの実感に訴え「なるほどそれが私なんだなあ」とわれわれに納得させればいいのです。
 カントは、(マニアックな論理構築物を捏造することも多いのですが)ある程度の作業に成功している。彼は多数の発話者が同じ「私」という言葉を使う場合、そこに共通項として対象的な何かがあることを徹底的に批判する。それに代わって彼が提案しているのは、「私」という言葉の共通項は、独特の「形式(Form)」だということです。

中島義道『「私」の秘密』
『人を〈嫌う〉ということ』で触れられたような私生活の秘密を暴露した本なのかしらんといささか野次馬的な気持ちで手にとった。

 実際は、「私」とは何か、という問題について考察していく哲学書だった。

 予想とは違ったけれど、『カントの読み方』はかなり難解だったので、その補完になればいいなと思って読み出した。

「私」というのは現在の知覚の場面だけ見ていては捉えることはできないという。何かに没頭しているとき、または酩酊しているとき、「私」は自覚されていない。

 しかし覚醒したときに、「私」は「私」が不在だったことを認め、その体験を「私」に帰属させることができる。

 この今ではない過去を想起し、今の自分自身と統一的に秩序づけることができる。このこと自体が「私というあり方」なのだという。


 というのが不十分なメモだけれど、心身論での過去への着目は『時間を「哲学」する』とつながるようでおもしろかった。

「否定」「不在」「後悔」。そういった後ろ向きに見えるものが人間であること、「私」にとって不可欠なのだと著者は考えているのかなと思う。


 少し触れられた大森荘蔵の風情論というのはアフォーダンス理論みたいで興味深かった。また機会があれば読んでみたい。
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