深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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バートランド・ラッセル『ラッセル 幸福論』
ラッセル幸福論 (岩波文庫)ラッセル幸福論 (岩波文庫)
(1991/03)
B. ラッセル

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 それはちょうど、ヒンズー教の妻の殉死がヨーロッパの傍観者の目に映ったとおりのものでなかったのと同様だ。おそらく、九分九厘まで、未亡人は、栄光のために、また宗教がそう命ずるがゆえに、進んで犠牲者として焼死しようとしているのだ。このビジネスマンの宗教とそう命ずるがゆえに、進んで犠牲者として焼死しようとしているのだ。このビジネスマンの宗教と栄光は、彼に金をどっさりもうけることを要求する。そこで、ヒンズー教の未亡人のように、彼はこの苦痛を喜んで受けるのである。このアメリカ人のビジネスマンがもっと幸福になりたければ、まず、その宗旨を変えなければならない。彼が成功を望むだけでなく、成功を追及することは男の義務であり、そうしない男はつまらない人間だ、と心から信じているかぎり、彼の生活は依然としてあまりにも全力投球型で、あまりにも不安にみちているので、幸福なものにはならない。バートランド・ラッセル『ラッセル 幸福論』


 ヒルティの『幸福論』、アランの『幸福論』と読んできたので、岩波文庫で最後に残っていた『ラッセル 幸福論』を読んでみることにした。

 本書はラッセル58歳のときの作品で、ラッセルが自らの経験と観察によって確かめ、実際に幸福をいやましたものをまとめて、読者に処方箋として提供しようとしたもの。

 前半部分では、不幸の原因となる要因を分析し、残りの後半部分で幸福をもたらす要因について語っている。皮肉のきいた文章にはじめはとっつきにくさも感じたが、慣れるとすらすら読めた。
 解説にもあるとおりヒルティやアランのものに比べて、ひどく実際的な内容となっている。「はしがき」にもあるように深遠な哲学が展開されているわけではなく、「常識」的といってもいい内容。

 現代の心理学に通じる面も多い気がして、私にとっては納得しやすいものだった。またフロイトへの言及も多い。

 総じて、自我意識や内に向かう意識が不幸の原因であり、外界に対する幅広い興味を持つことの大切さを説いている。

 個人的におもしろかったのは、無意識の意識への働きかけの逆の経路を考えているところ。恐怖や心配が根拠のないものだと確信していても、無意識が優勢的な場面では効力を失う。

 意識的な思考を無意識に植え付けることをもっと考えるべきだし、実際にできるのではないかというのは興味深い。そして恐怖を直視しないことが一番危険だというのもよくわかる。

 そして先進国で少子化になる理由まで分析されているような、「愛情」と「家族」の章もおもしろい。やはり幸せには不可欠なのかなあ。身にしみる。
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