深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
(2008/12/11)
西原 理恵子

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 生きていくなら、お金を稼ぎましょう。
 どんなときでも、毎日、毎日、「自分のお店」を開けましょう。
 それはもう、わたしにとっては神さまを信じるのと同じ。
 毎日、毎日、働くことがわたしの「祈り」なのよ。
 どんなに煮詰まってつらいときでも、大好きな人に裏切られて落ち込んでるときでも、働いてれば、そのうちどうにか、出口って見えるものなんだよ。
 働くことが希望になる――。
 人は、みな、そうあってほしい。これはわたしの切なる願いでもある。

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』


『ぼくんち』に衝撃を受けたので、少し前に話題になったこちらを読んでみることにした。

 タイトルからは、何となく拝金主義的なえげつない臭いがして敬遠していた。装丁も一万円札をベースにしたもので結構どぎつい。

 しかし内容はどちらかというと著者の自伝的な作品になっていて、著者の人生論・仕事論にもなっている。著者の絵も挿絵程度しかない。若者向けに書かれているので、あっという間に読めてしまうが、軽い本でもなかった。
 読んでいると「ぼくんち」で描かれた壮絶な世界はある程度実体験に基づいているらしい。貧しさが人から希望を奪い、暴力を連れてくる。

 美大時代に上には上がいると思い知らされた著者が、エロマンガだろうとなんだろうと絵の仕事がしたいと出版社に営業をかけていくところはすさまじい。最下位の人間には最下位の戦い方があるというのは頭ではわかっても、それを実際に行ってしまうたくましさには脱帽する。

 夢に向かっての踏み出し方がわからないときは、それでどうやって稼げるか考えると次に打つ手が見えてくる、カネとストレス、やりがいの中で自分なりの落としどころを探す、というのはなるほどと思う。

「負け方が大事」というギャンブルの話もおもしろい。ギャンブルでのお金の使い方に、人間の性格が表れるというのはわかる気がする。私自身はどちらかといえばみみっちい人間だと思うけれど、お金の使い方を見直さないといけないと思う。

 そしてアジアの国々を歩き、貧しさのために幼い頃から過酷な環境で働くことを余儀なくされ、貧困の連鎖から抜け出すことのできない絶望的な状況に生きる子どもたちの姿を見てきた体験が描かれる。それは著者の幼少期の日本よりももっと絶望的な世界で目を背けたくなるような世界だった。

 自ら道を切り開き、過酷な世界を見てきた著者にとって、「やりたいことがわからない」と立ちどまってしまう人間は理解することができないのだろうし、見ていると歯がゆくてしょうがないのだろう。

 働くことができることがそもそもありがたいことであり、「恵まれている」「甘えている」といわれれば、ぐーの音も出ないだろう。けれど反論できないだけに、その認識はつらい。不甲斐なさがつのる。


 そういった数々の経験が、上に引用した「働くことが祈り」という信念につながっていく。納得するかどうかはともかく、著者の並外れた経験からつむぎ出された言葉には感情を揺さぶられた。
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