深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)
(2004/06)
寺山 修司

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 F・ローデルは「法は諸科学の中のキルリー鳥だ」と書いている。キルリー鳥は、うしろ向きに飛ぶ鳥であり、法もまた古来の原則や先例を墨守して、「革新を悪とし、旧套を徳としてきた」のであった。だから、正義はいまのところ、自らの国家を生成しようとしている革命家たちをのぞけば、きわめて保守的なものであり、そして「うしろ向きに飛ぶ」ものだ、ということになり、革命家を犯罪者に変えてしまう魔術師である。私は月光仮面がマントをひるがえして飛ぶとき、「前向き」だったか「うしろ向き」だったか、よく覚えていない。だが、マフラーと仮面という、「制服」で出勤してくる月光仮面をあてにしていたこともあったような気がする。それは、自己の限界につきあたったとき、その壁を破る「超能力」への期待であり、それを踏台にして、あるがままの自分を超克する――ということにつながるものであった。しかしそれが「正義の味方」であって、だれのためにも力を貸してくれるものではないのだ、と知ったときから疑いがはじまった。「正義」というのは、ただのオプチミスチックな政治用語であり、月光仮面は現体制が雇った用心棒にすぎないと知ったら、「正義の味方だ 良い人だ」というのは警察官募集のキャッチフレーズのように見えはじめたのである。それでも恥ずかしいことに、私の机の抽出しには今でも捨てる機会を逸した月光仮面の仮面が入っているのである。

寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』


 読書の合間に気楽に読めそうな本を探していたら、前から気になっていたこの本を見つけたので手にとってみた。

 本書は、詩や劇作など幅広い領域で膨大な著作を残したという寺山修司の出世作になった作品らしい。

「書を捨てよ、町へ出よう」「きみもヤクザになれる」「ハイティーン詩集」「不良少年入門」の4章から構成されている。
 本なんか読んでないで外で経験を積めという説教くさい内容なのかと思っていたけれども、想像していたとは異なり、エッセイ集のようなものだった。内容的にはあまりまとまりがない印象。

 印象的なタイトルはアンドレ・ジッドの「地の糧」に登場する一節らしく、ハイティーン詩集の中に引用されている程度だった。

 そういった意味で少々当てが外れた感があって、あまり楽しんで読めなかった。

 平均化した生を生きるのではなく、お金を切りつめて高級車に乗るといったような一点豪華主義を奨めているところや上に引用した月光仮面から正義について語った部分はおもしろく読めた。

 またトルコ風呂で働く女性たちに向ける視線も温かくて好きだ。
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