深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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伊藤礼『こぐこぐ自転車』
こぐこぐ自転車こぐこぐ自転車
(2005/12/14)
伊藤 礼

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 そのあと井の頭通りと交差する松原交差点で信号待ちをする。松原交差点の信号待ちは交差点の規模のわりに長い。ずいぶん長く感じる。ここではなぜか私のようにどこかを目ざして走っていますというような、ママチャリ離れした自転車乗りと鉢合わせすることがある。たいていお互い何も言わない。何も言わないが、見ないふりをしてちらりと相手の自転車を観察する。そして、「ふん」と思う。

伊藤礼『こぐこぐ自転車』


『自転車三昧』『自転車生活の愉しみ』と自転車エッセイがおもしろかったので、印象的なタイトルのこちらを読んでみることにした。

 こちらも河村健吉『自転車入門』で紹介されていた一冊。本書は定年間際にふと自転車で通勤することを思い立ち、そのまま自転車にのめりこんでしまった著者による自転車紀行文。

 初めて職場まで自転車で行ったときの辛かった思い出や新宿まで定期的に走って脚力を鍛えた話、東京近郊の探索、軽井沢旅行に行って途中で引き返したこと、仲間との北海道旅行など、短い距離でふらふらになってしまっていた著者が自転車旅行をするまでに至る過程が痛快なタッチで描かれている。
 著者は『チャタレイ夫人の恋人』の翻訳で有名な小説家伊藤整のご子息で、ご自身も翻訳などで活躍されているという。

 そういった生い立ちや大学で教鞭を取っていたという経歴からはおっとりした人柄が想像されるけれども、その予想は見事に裏切られた。

 上に引用したところもそうだけれど、結構辛口なコメントを随所にまきちらしている。しかし、からりとしていて不快感は少なく、逆におかしくて何度も笑い出してしまった。生まれも育ちも東京らしく、江戸っ子ぽさを感じる。

 そして勢いにまかせて悪態をついても「それも無理はない」とすぐ反省したり、年齢にあわせて無理をしない乗り方をしているのはさすがにだと思う。

 自転車に乗るTips的な情報は少ないけれども、お年を召されても元気に自転車に乗っていられる姿を読んでいると、こちらもやる気になってくるような一冊だった。

 それにしても、何度も転倒して、歯を折ったり骨折したりしたというのを読んでいると、自転車に乗ることの危険性も改めて認識させられる。やはりヘルメットは必要なのかなと思いつつ、私が乗り始めたクロスバイク程度では少し大げさな気もして躊躇してしまう。
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