深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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円地文子訳『源氏物語 巻四』
源氏物語 4 (4) (新潮文庫 え 2-19)源氏物語 4 (4) (新潮文庫 え 2-19)
(2008/09)
紫式部

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 女ほど身の持ち方が窮屈で、あわれなものはない。深く心にふれることも、興のおもむくこともまるで知らないように人前にも出ず、引き籠ってばかりいれば、何によって生き甲斐のある晴れがましさを味わい、この定めない世のつれづれを慰めることが出来ようか。世間の道理も分らず、ただ何の能もない者になっていたのでは、丹精して育ててくれた親もさぞ残念に思うことであろう。何もかも胸一つにおさめて、無言太子とかいう、あの僧たちの、悲しい物語の例にひく昔話のように、ものの善悪もちゃんと心得ていながらじっと黙りこんでいるのもつまらぬことだ。自分ながらもほどほどを保つというのは難しい、とお考えになるのも、今はただ明石の女御のお生みになった女一の宮の御ためなのである。

円地文子訳『源氏物語 巻四』「夕霧」より
 ちょっと間が空いてしまいましたが、巻1巻2巻3に続き円地源氏の巻4読了。

 私が読んでいる旧版版5分冊には「柏木」から「総角」までの12帖が収録されている。くどいけれどもリンク先は再版版なので収録範囲が異なる可能性があります。

 物語も終盤に近づき、光源氏が物語から雲隠れし、いわゆる宇治十帖に入っていくことになる。

 女三の宮との不義を犯した柏木は、光源氏に気圧されるようにあっさり死んでしまう。女三の宮は柏木との子薫を産むと出家してしまう。

 一方堅物と思われていた夕霧は悲しみに沈む柏木の妻落葉の宮に言い寄り、奪うように自分のものにして、都中の噂になってしまう。

 こうしてみると、息子世代は少し小粒な感じがしてしまう。なかなかなびかない落葉の宮に対する夕霧のぎこちない接し方はとても好きだけれど。

 そういった意味では、光源氏はあまり好きにはなれないけれども、女性たちを一ヶ所に集めて、それなりに円満に暮らしていたのはさすがだなと思う。

 その光源氏もあれほどの栄華を極めながら、紫式部を失い、失意の中、物語から退場していく。

 憎らしかった光源氏だけれども、「幻」で美しさを保ちながらも憔悴していく姿の描写を読んでいると、美しくてもしみじみとしてしまった。


 中途半端になりそうなので「宇治十帖」については巻5のときにまとめて何か書こうかと思います。
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