深海魚の水槽
読んだ本のメモなどを残していく予定です。
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シオラン『告白と呪詛』
告白と呪詛告白と呪詛
(1994/12)
シオランCioran

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 人間という人間に、うんざりしている。それでも、私は笑うのが好きだ。そして、私は、ひとりでは笑うことができない。

シオラン『告白と呪詛』


 シオランについては以前どこかで紹介されたときに非常に興味をそそられたのだが、なかなか手にとれないできた。図書館で本書を見つけて見返し部分を開いたときに飛び込んできた上の引用文に強く惹かれ読んでみることにした。

 シオランはルーマニア生まれパリで没した20世紀の思想家。その著作のほとんどが哲学的な断章かエッセイであるらしい。本書はかなり晩年の作で、アフォリズムや数行の文章がいくつも並べられている。


 その内容はひたすら毒を吐きまくるもの。身も蓋もなくなるような痛烈な言葉が連続している。かといって不快に感じるようなものは少なく、引用文のようにユーモアを感じるような逆説的な文章も多くて笑ってしまうところもある。
 

 とにかく共感できる部分が多く、気に入った言葉を引用していると限りがなくなってしまう。そんな中にも次のような自嘲的な文章があって、はっとさせられる。

何ごとも半分しか達成できないのが、彼の星まわりだった。この男の場合、すべてが欠損状態にあった。ものの考え方も、生き方も。断片人間、いや、断片そのものだった。

シオラン『告白と呪詛』


 これほど生を嫌悪する言葉を吐き出しながら、他人に死を勧めたりはしない。そういった部分がとても好きなのだが、もっと激越だという初期の著作はどうなのだろうか。幸い日本では多くの著作が翻訳されているようなので、他の作品も読んでみたいところ。

 この人生から自分を葬り去るのは、人生に毒づく楽しみを捨てることでしかない。
 これが、この世にけりをつけるつもりだと言いに来た人間に返してやれるたった一つの答えである。

シオラン『告白と呪詛』

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